クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2020/12/10 広響

2020年12月10日   広島交響楽団   広島文化学園HBGホール
被爆75年特別定期演奏会
指揮  ウラディーミル・フェドセーエフ
チャイコフスキー   幻想序曲ロメオとジュリエット
ショスタコーヴィチ   交響曲第5番


はぁー・・・(ため息)。

期待したんだけどなぁ。だからこそわざわざ広島まで出張したんだけどなー。
残念ながらその期待は裏切られた。

別にフェドセーエフがダメだったとか、衰えたとか、そういう感じではなかった。
広響だって、熱演だった。それは認める。
そりゃ、フェドさんみたいな巨匠が、たった一公演だけのために二週間隔離を受け入れて広島にやってきたわけだ。オーケストラとしては気合いが入らないわけがなかろう。

でも、作品の真髄を詳らかにするためには、一生懸命とか真剣とかを見せつけるだけでは不十分だし、そもそもプロである以上、そうした懸命さが前面に出てくるようではダメなのだ。

広響の演奏からは広響の物と思われるサウンドが聴こえてきた。
だが、肝心のチャイコフスキー、あるいはショスタコーヴィチが聴こえてこなかった。作品が浮かび上がって来なかったのだ。
少なくとも、私には・・・。

もしそうだとしたら、その責任は指揮者が全面的に負うことになるわけで、ならばフェドセーエフのせいということになる。
そうなのか?? そういう結論でいいのか??
うーん・・・。

ちなみにツイッターなどで聴いた人の感想を眺めてみたが、絶賛している人が多かった。
ふーん、あっそう・・・。
ということは私の耳が節穴だったということになるな。
まあ、それならそれで別にいいけどさ・・・。

みんな「フェドセーエフ」という名前だけで「素晴らしい」と信用しちゃってないか?
普段の広響より熱量が多かったというそれだけで「名演だ」と奉っていないか?

あ、いや。
やめよう。そういうことを言っちゃいけない。
感動に身を包むことが出来た皆さん、おめでとう。良かったね。

一つ、責任をなすりつけ、そのせいだとクレームを押し付けられる原因というのがはっきり分かっている。
ホールだ。
クラシック音楽に適するための設計がなされていない、普通のそこらへんの多目的ホール。無味無臭の乾燥した音響空間が、時々露呈する広響のクオリティの甘さを晒し出す。
私は広響の普段の演奏活動実態を知らないが、このホールが定期演奏会の会場、主戦場なのだとしたら、もう本当にご愁傷様としか言いようがない。

音響とは関係ないが、開演時間が迫っていることを告げるアナウンスで、「ブーーーーーーーー」という味気ないブザー音が場内に鳴った瞬間、「あっちゃー・・」と思わず天を仰いでしまった。

そうだ。すべてはホールのせいだ。この際そういうことにしよう。
東京は恵まれているんだな。