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2016/10/8 東響

2016年10月8日  東京交響楽団   ミューザ川崎シンフォニーホール
武満徹  弦楽のためのレクイエム
 
 
今月、欧州遠征に行ってくる東響。その前にまずは予行演習でお披露目。ショスタコーヴィチをメインとするプログラムも組まれていて、そちらの方を聴きたいとも思ったが、あえてこの日の公演を選択した。
ショスタコーヴィチの音楽というのはとても外形的なので、言葉は悪いが「やりゃあ、それなりの物になる。」
ところが、ドビュッシー「海」やブラ1はそうじゃない。やりゃあいいってもんじゃない。中味、本質がものすごく問われる。
あえてそうした曲を選んでいるところに、ノットと東響の演奏旅行に賭ける意気込みを感じたというわけ。
 
やはり、であった。
この日の公演は「名曲全集」というシリーズなのだが、定期公演並み、どころかそれ以上の万全の体制。指揮者の鼻息は荒く、鼻息じゃなく「ハアッッ」「ッシャァーッ!」という唸り声が何度も聴こえて、「いやあ気合いが入っている!」と思わず笑ってしまった。
 
武満の曲はまあ挨拶代わりの一発として、ドビュッシーブラームスも、もうすべての箇所に手心を加え、「音を作っている」というのがはっきり分かった。とにかくきめ細かい。
 
ノットの音楽づくりで感心するのは、きめ細かいからといってディティールの抽出にこだわっているわけではなく、構築させたい全体イメージを体現するために各パートに細心の注意を払わせている、という点だ。
つまり、ノットのタクトは過剰気味なほどに細かく各パートを振り分けているが、頭の中ではそのパートではなく、あくまでも全体が鳴り響いている。そこら辺は、同じくディティールに細心の注意を払うD・ハーディングとは面白いほどにコントラストを為す。
 
仕上がりは上々だ。ていうか、この演奏だったら、欧州の聴衆も熱狂するのではないだろうか。
更なる熱狂を巻き起こしそうなのが、アンコールのリゲティルーマニア協奏曲」。これはウケるぜ。いい曲を見つけてきたもんだ。さすがノット。