クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/4/17 東響

2021年4月17日   東京交響楽団   サントリーホール
指揮   原田慶太楼
服部百音(ヴァイオリン)
ティケリ   ブルーシェイズ
バーンスタイン   セレナード(プラトンの『饗宴』による)
ショスタコーヴィチ   交響曲第10番


午後2時からのN響に続き、午後6時からの公演をはしご。若手のホープ原田さんが東響の正指揮者に就任する、その記念公演ということで、駆けつけた。
原田さん、近年急速に国内での活路を開いている注目の指揮者である。もしかしたら、今、もっとも勢いのある人かもしれない。
本人も東響の正指揮者就任にあたり、当然のことながら「よし! いっちょやったろ!」と意気込んだはずで、まさにそれが目に見えるようなプログラムである。


ところで、私は以前、とある高校の教師で、吹奏楽部顧問として活躍し、県のコンクールを何度となく制したことがある人から話を伺ったことがある。
その人曰く、コンクールに適した曲(つまり、入賞しやすい曲)を選ぶポイントというのがあるのだとのこと。

まず、審査員にもあまり知られていないような、珍しい掘り出し物の作品を探し出してくること。
これは、有名な曲ほど聴く人の思い入れや解釈が既に染まっているため、そういうのを避けることで、独自色を打ち立てることが出来るのだという。
二点目、曲の中に必ずパンチが効いている部分、華々しく狂騒的な部分があって、鮮烈なインパクトを残すような作品を選ぶこと。
特に、打楽器が活躍する曲がいいんだそうである。見栄えするからだそうだ。

今回、原田氏が選んだプログラムの作品を聴いて、私はこの話を思い出してしまった。
前半の2曲、まさしくそういう作品だったからだ。

聴衆のハートを一気に掴むナイスな選曲。原田さんの狙いはズバリ当たった。
挨拶代わりに、自らの拠り所となっているアメリカの作品を持ってきて、いきなり得意技を繰り出し、狙いどおり一本勝ちを収めたというわけ。
観客は「お!? これはなかなかいいぞ! 面白いぞ!」と思ったはず。熱狂の渦が巻き起こり、拍手は鳴り止まず、ソロ・カーテンコールまで続いた。
まさにしてやったり。

この戦略的とも言えるしたたかさが功を奏した門出を、とにかく祝福しよう。

問題は、これから。これから何をやるのか。
聡明な彼のこと。きっとあの手この手を使って、これからもファンの心を掴んでいくに違いない。実際、別に発表されているN響の客演のプログラムにおいて、やはり独自性を大いにアピールしようとしているようだ。

うーむ、これは何だか下野竜也氏の道を行くような気配がないではないが・・・。
とにかく、今回たとえ「そういう曲を選んだ」とはいえ、これだけオーケストラの音を鮮やかにビシッと決めてきたタクトと手腕は、大したもの。

いずれ、ベートーヴェンブラームスモーツァルトのような定石の作品で勝負してくる日がくるのだろうか。

ま、とにかく注目していきましょう。