クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ウィーンのアンナ・ボレーナ

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2011年3月、4月  ウィーン国立歌劇場上演ライブ収録映像
演出  エリック・ジェノヴェーゼ
アンナ・ネトレプコアンナ・ボレーナ)、エリーナ・ガランチャ(ジョヴァンナ・セイモウ)、イルデブランド・ダルカンジェロ(エンリーコ)、フランチェスコ・メーリ(リッカルド・ペルシー)   他
 
 
 この映像は既にDVDで発売されている。(ただし、輸入版のみ) 私はクラシック音楽ファンなら誰もが視聴している(?)CS放送のクラシカ・ジャパンで見た。
 今をときめくスター歌手達の共演ということで、現地では大評判を呼んだ公演である。チケットはもちろん争奪戦。私も出来ることならウィーンに飛んで行きたかったが叶わず、こうして映像になって見られたのは嬉しい限り。本当によくまあ撮ってくれましたって感じ。
 
 また、このプロダクションは来年秋のウィーン国立歌劇場引越し来日公演演目の一つに予定されている。現時点で招聘元であるNBSが発表しているキャストの中にはグルベローヴァの名前が挙がっているが、本人自身が「来日しない」と言っているとか言っていないとか・・・。
 
 私はグルベローヴァが来ても来なくても、どういうキャストであっても、おそらくチケットは買うと思う。そうした場合、いったいどういう舞台なのかは実際に見てのお楽しみにしたいので、先に映像を見てしまうのは本来なら避けたいところなのだが、今回だけは誘惑に負けた。見たい衝動に駆られた。それくらい魅力的なキャストである。
 
 どうしても、つい先日にライブビューイングで見た「メト」バージョンと比較してしまうのは仕方がなかろう。
 メトにはメトの良いところが当然あるし、タイトルロールはメトもウィーンも同じネトレプコだ。だが、何と言ってもウィーン版はガランチャ、メーリ、ダルカンジェロの豪華スター揃い踏みなのが大きい。特にガランチャね。メトも本当はガランチャだったのに、妊娠降板はホント残念でしたねー。グバノヴァさんにはわりいけど、美しさ、華やかさにおいて段違い。エンリーコ王の気持ちがそっちに傾いちゃうのは、もうしょうがないってば(笑)。
 
 ライブビューイングで見た時は、アブドラザコフのエンリーコも十分良かったと思ったけど、ダルカンジェロを聴いて(見て)しまうと、これもまた完全に勝負ありって感じ。ダルカンジェロは、イタリア語を歌に乗せるのが上手い。いわゆる‘歌いまわし’が絶品なのだ。そりゃイタリア人だから、当たり前と言えばそうかもしれんが。更に歌だけでなく、容姿も男のフェロモンたっぷりムンムンの伊達男なのだから、こりゃかなわんわな。
 
 演出はオーソドックスタイプ。メトと同様、衣装に相当気合が入っている。現地評では「コスプレ大会」などと揶揄されたようだが、これだけの一流歌手が集っているのだから、ヘタなコンセプトによる現代演出よりも、舞台も衣装もこれくらいトラディショナルでいいのではないだろうか。
もっとも、これだけの歌手が集ったからこそトラディショナルでオーケーなのであって、これからレパートリー演目になってリピート再演され、プレミエ並の歌手が整わない時に果たしてどう評価されるかはビミョーだ。「豪華なのは衣装だけ」なんて言われかねない、諸刃の剣のプロダクションでもある。
 
 指揮のピドは、来年の来日公演でも振る予定になっている。いわゆるビッグネームではないが、イタリアオペラは定評がある叩き上げの職人指揮者だ。そもそも、この注目公演の指揮を任されているのだから、腕は確かだろう。(歌手に金がかかりすぎて指揮にまで行き届かなかったなんて言っちゃダメ~!)十分手堅くまとめ上げているではないか。私はまだ一度しか実演に接していないので、来年の来日を心待ちにしようと思う。