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2016/6/24 読響

2016年6月24日  読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  シルヴァン・カンブルラン
ベルリオーズ  序曲「宗教裁判官」
デュティユー  チェロ協奏曲「遙かなる遠い世界」
 
 
オーケストラというのは面白いものだ。指揮者によって音楽の印象が変わるのである。
「何を今更当たり前のことを」と言われてしまいそうだが、ブル3を聴いて率直に思った偽らざる感想である。
ここでいう比較対象の指揮者というのは、もちろんスクロヴァチェフスキだ。
 
優劣を論じるつもりはない。だが、スクロヴァさんはブルックナーの演奏によって読響のレベルとグレードを一段アップさせた。都響マーラーがインバルとともに語られるのと同様、読響のブルックナーと言えばスクロヴァなのだ。
 
だから、てっきり染み付いていると思っていた。スクロヴァ流の、崇高で雄大でありながら、どこか武骨で人間らしく温かさを感じさせる演奏。
 
カンブルランのブルックナーは、違った。
ハーモニーは厚いが透明感があり、洗練されていた。現代的であり、都会的であった。それは、いかにも東京のオーケストラに相応しかったし、サントリーホールの特性である豊かな響きに相応しかった。
 
カンブルランが、かのごとく読響のサウンドを変容させたのは、さすが常任指揮者の面目躍如。いったいどういう音楽作りを施したのか、実に興味深いところである。
 
 
デュティユーという作曲家は、ちょっと微妙だ。十分に聴きこむなど予習をして曲にしっかり向きあえば、感性に響くものがある。その一方で、曲を知らないまま公演に臨むと、大抵の場合、つまらないと感じる。
今回は後者。コンチェルトなのでソリストの演奏技術だけでも楽しめるかなと思ったが、やっぱダメだった。
理由は分かっている。
デュティユーは私のテリトリーのちょうど境界線に存在する人なのだ。これを越えると、そこは現代音楽の世界で、もうお手上げ。厄介だねえ。