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2019/3/14 読響

2019年3月14日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  シルヴァン・カンブルラン
合唱  新国立劇場合唱団
ロバート・ディーン・スミス(ヴァルデマール王)、レイチェル・ニコルズ(トーヴェ)、クラウディア・マーンケ(山鳩)、ディートリッヒ・ヘンシェル(農夫、語り)、ユルゲン・ザッヒャー(道化師クラウス)
 
 
なかなか演奏されないこの作品が、今年に限って3回も公演があるというのは、ちょっと信じられないくらいの珍現象である。まあ何にせよ、そういう機会を得られているというのは喜ばしい。
その第一弾がこの日の読響。通常の定期演奏会だが、カンブルランが常任指揮者を9年に渡って務めたそのラストを飾る記念すべき特別演奏会と言えるだろう。
 
だったら、なんで一公演しかやらないの? 二公演やればいいじゃん。(そうすれば同じ日に重なったマーラー・チェンバー行けたのにさ・・。)
 
カンブルランの意欲が十分に伝わってきた会心の演奏だ。
劇的でスケールが大きい作品だが、非常に洗練され、デリケートでなおかつ明晰であるところが、いかにもこの指揮者らしい。力を込めている所でも、それでいながら歌手との構成バランスを保っているところなんかもそう。
(もっとも、スコアの厚みのせいで、R・D・スミスが苦しくなるのは仕方がないか。)
音楽の芯はオーケストラで固めながら、語り口、進行をソロ歌手に任せる余裕も見せ、この難曲が完全に指揮者の掌中に入っているのは本当にさすがとしか言いようがない。
 
もったいないなあ。なんで一公演しかやらないの?
 
と同じことを繰り返し言うことで、その秀逸の演奏を称えることとしたい。
 
カンブルランがこの9年の間に読響に残した実績、形跡は、大きい。大げさかもしれないが、読響の歴史の一ページに燦然と名を残したと思う。
おそらく頂点は、一昨年のメシアンアッシジの聖フランチェスコ」公演だと誰もが口を揃えると思うが、私個人的には、2011年9月のベルリオーズ「ロメオとジュリエット」全曲上演、2013年3月のマーラー交響曲第6番」の演奏が、強い印象として脳裏に深く刻まれている。
退任後も、是非定期的に客演で来日してほしいと心から願う。