クラシック、オペラの粋を極める!

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2019/5/14 読響

2019年5月14日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  セヴァスティアン・ヴァイグレ
ヘンツェ   7つのボレロ
ブルックナー   交響曲第9番
 
 
読響第10代常任指揮者、ヴァイグレ氏の就任披露演奏会。
「やるなあ読響。いい指揮者をゲットしたじゃんか。」
就任のニュースを聞いた時の私の率直な感想。
 
個人的に、私が初めてヴァイグレという指揮者を知ったのは、今から16年前。結構昔だな。フランクフルト歌劇場での「影のない女」の公演だ。
当時、私はヴァイグレのことをまったく知らなかった。演奏を聴くまで「どこの馬の骨じゃい?」と疑心暗鬼だった。
しかし、演奏を聴いて、非常に感銘を受けた。音楽の構築が非常に立体的で、確信に満ちたタクトだったことを、今でも覚えている。
「この指揮者、ひょっとしていいんじゃないか!?」
と思ったら、案の定。その秀演が認められ、権威あるOPERNWELT誌が年間最優秀指揮者に選定。その後、同歌劇場の音楽監督になり、バイロイト音楽祭にも登場。今や、ドイツオペラ界の一翼を担う実力派カペルマイスターとして活躍中なのだ。
 
そんなバリバリのオペラ叩き上げ指揮者がシンフォニー・オーケストラの常任指揮者に就任するわけだが、私はまったく心配していない。
考えてみれば、前任のカンブルランだって、経歴から言えばオペラ指揮者だった。前任と同様、きっと読響と素晴らしいコラボを築いてくれることだろう。
 
さて、この日の公演だが、挨拶代わりとしては十分に立派な演奏だったと思う。
いきなりヘンツェを持ってくるあたり、ヴァイグレの並々ならぬ意欲が感じられるし、ブルックナーも堅実そのものだった。
私はP席から、指揮者の表情も含め、じっくり観察していたが、進行管理型タクトではなく、頭の中で鳴っている音楽の表現を尽くしているという印象を抱いた。
一方で、メインにおいて、指揮者が描くブルックナー観を大きな説得力を持って指し示すという所までは至っていないとも感じた。そこらへんは、まあ、これからじっくり、おいおいと、ということでいいと思う。
 
少し残念だったのは、せっかくの就任披露だったのに、お客さんの入りがイマイチだったこと。
成果を積み上げながら、着実に聴衆の心を掴んで客入りを増やしていくのも、やっぱりこれからじっくり、おいおいと、ということだろうか。お手並み拝見しようじゃないですか。
 
とりあえず、次、サロメね。得意のオペラだよね。