2024年12月19日 樫本大進&R・ブレハッチ デュオ・リサイタル サントリーホール
樫本大進(ヴァイオリン)、ラファウ・ブレハッチ(ピアノ)
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ第17番
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第7番
ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ
武満徹 悲歌
フランク ヴァイオリン・ソナタ
1月にE・ル・サージュと組んでデュオ・リサイタルを行った樫本大進。今年2度目のデュオの相手はブレハッチ。来年6月にも再来日が予定されていて、パートナーはアレッシオ・バックス。
もはや日本凱旋というよりは、里帰りを兼ねた出稼ぎ(笑)。
それは冗談として、樫本さんはこれまでもコンスタンチン・リフシッツ、キリル・ゲルシュタイン等とも組んで来日し、デュオ・リサイタルを開催している。
パートナーを固定して長年のコンビを構築させるヴァイオリニストもいる中、樫本さんは、もしかしたら意識的にパートナーをチェンジして、違った発見、新しい触発を狙っているのかもしれない。
あくまでも勝手な想像だが、コンサートマスターとして様々な指揮者の下で演奏しながら、コラボレーションの面白さというものを感じ取り、それを室内楽でも実践しているのではあるまいか。いやわかりませんけど。
今回のパートナーは、ブレハッチ。言わずと知れたショパ・コン覇者。ネームバリューは絶大で、世界を股にかけて活躍中。いつにも増して、このコンビの演奏は興味を惹かれた。人気のアーティスト二人ということで、チケットはソールドアウト、満員御礼。
そのブレハッチのピアノがすごくいい。
作品や演奏箇所によってはヴァイオリンの伴奏に回って下支えすることもあるが、それでもピアノ・パートに念入りな音楽の作り込みが聞こえるし、極端な話、ヴァイオリン無しのピアノ・パートだけの演奏でも、かなり面白い音楽になるんじゃないかと思わせるピアニズムである。
だからといって、決して出しゃばらず、ぶつからず、フィフティ・フィフティの関係で相乗効果を生み出す。演奏された作品は、「ヴァイオリン・ソナタ」ではなく、「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」であることがはっきりと証明されたのであった。
樫本、ブレハッチ、二人ともお互いを信頼し、純粋にデュオを楽しんでいる様子が伺えた。
リハーサルの段階では、もしかしたら色々と解釈や奏法、演奏効果等について十分に意見を交わしたかもしれない。ていうか、実際そうなのだろう。
だけど、本番での二人の演奏の様子を見ていると、何も言わなくても、事前のリハや打ち合わせをしなくても、演奏しながら相手の音楽や方向性を瞬時に感じ取って一つの音楽を作る、みたいな印象を受けた。
こういうのが、まさに一流ソリスト同士の演奏というのだろうな。