三日間滞在したウィーンを離れる日。天気は朝からずっと雨。
寄りたかった所 - それはリンツ郊外にある田舎町ザンクト・フローリアンだ。説明するまでもなく、ブルックナーの縁の地である。大作曲家はここの修道院附属教会のオルガニストとなって一時期を過ごし、ここに永眠している。
今年は私にとってブルックナーイヤーだ。生誕や没後などの記念年でも何でもないが、バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリンの一連の公演を皮切りに、すべての交響曲(最初期の物を除く)を鑑賞することになっている。つい数日前にもウィーン・フィルによる7番を聴いたばかり。そんなわけで、どうしても聖地を訪ねてみたくなったのだ。
ガイドブックなどによると「リンツ中央駅から郊外バス410番に乗り、St.florian Gendamerieplatzで下車」と紹介されていることが多いが、そこよりも二つくらい手前のバス停で降りた方が、目指す修道院に近い。
およそ20年ぶりの訪問で、前回友人と一緒に訪れた時と異なっていたこと。
それは、修道院の内部見学がガイドツアーのみになっていたことだ。
以前はガイドツアーと自由見学のどちらかを選ぶことが出来た。この時我々は迷わず自由見学にした。
現在はガイドツアーオンリーのため、墓所は見学コースの中に必ず組み込まれている。今回の訪問は、いわば前回かなわなかった部分の穴埋め作業かもしれない。
ガイドツアーの参加者は、なんと私だけだった。寂しい〜。
ガイドさんはとてもわかりやすい英語を話すのだが、一対一でずっと話しかけられるのは少々苦痛。参ったなあと思っていたら・・・。
ちょうど10分くらい経った時、オーストリア人4人組が遅れてやってきて、我々のガイドツアーに加わった。ガイドさんの解説はそこからドイツ語となり、私には英語対応の携帯ガイダンス器が手渡された。こうして無事にマンツーマン英語レッスンから開放された。いやあホッとした。
ブルックナー・オルガンと言われるパイプオルガン。
5月下旬から10月上旬までの間、ミニ・オルガンコンサートが定期開催され、修道院見学ツアーとセットで申し込み、鑑賞することが可能。今回はタイミングがずれ、聴くことはかなわなかった。(前回訪問の際には聴いたので、良しとしよう。)
この日は終日雨だったせいか、とにかく寒かった。特に地下墓所は日が当たらないので、まるで冷蔵庫の中に入ったみたいな底冷え。それこそ風邪ひくかと思ったくらい。
トイレにも行きたくなり、もうツアーから早くあがりたくてあがりたくて仕方がなかった。ブルックナー先生にご挨拶するせっかくの機会だったのに、それどころではなかった。残念。