クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2016/5/4 イタリアのトルコ人

2016年5月4日  ザルツブルク州立劇場
指揮  アドリアン・ケリー
演出  マルコ・ドット
ピエトロ・ディ・ビアンコ(セリム)、ハンナ・ブラッドベリー(フィオリッラ)、セルジオ・フォレスティ(ドン・ジェローニオ)、カルロス・カルドーソ(ドン・ナルシーソ)、シモン・シュノル(プロスドシーモ)、ロワン・ヘリエル(ツァイダ)   他
 
 
ザルツブルクは、世界最高の音楽祭が開催される街であり、世界最高のオーケストラや音楽家たちが集う街であり、最高級を追い求める世界中のクラシックファンが集う街である。我々にとって憧れの場所だ。
 
そんな街に、最高級を追い求めるファンはまったく見向きもしない、地元民のためのローカル劇場がある。ランデスシアターという名称の州立劇場だ。祝祭劇場の影に隠れているが、ここも年間を通じて、コンサート、演劇、オペラ、ミュージカルなどを上演している。
 
他の人は見向きもしないかもしれないが、私にとっては、そこでオペラをやっている以上、メジャーとかマイナーとかに関わらず、テリトリーであり訪問対象。むしろ音楽祭期間中、この劇場の前を素通りしながら、「一度は訪れてみたいな」とかねがね思っていた。今回、ようやくそのチャンスが到来したというわけだ。
 
劇場内に入ると、これがもう笑ってしまうくらいこじんまりとしてカワイイ。
客席も小さい。舞台も狭い。オケピットも小さい。
ピット内に入っているオーケストラプレーヤーを数えてしまった。たったの30人であった。小編成オペラを上演するからではない。これがキャパシティなのである。こりゃあワーグナー上演なんて絶対不可能(笑)。
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お客さんもみーんな地元民。中には民族衣装を着ている人だっている。こういう雰囲気もいいよねえ。
 
ロッシーニのオペラは、まるでオペレッタかミュージカルのように軽かった。演奏の実力やレベルについて語るのはやめようと思う。それこそ野暮ってもんだ。お客さんは心の底から舞台を楽しんでいる。おかしけりゃ声を上げて笑う。いいじゃないですか。最高じゃないですか。
 
演出は、それなりに凝っている。オーソックスに徹しているかと思いきや、しっかりと現代読替えされている。回り舞台を使い、狭い中で効率的効果的に場面転換を図っているのだが、なるほど、回り舞台機構というのはまさにローカル劇場のためにあるのだな、と初めて気が付いた。
 
とても楽しかった。そして、こういう楽しい観劇には、ロッシーニのブッファはもってこいなのだと改めて分かった。
 
さて、次回のザルツは今年の8月。世界最高のクラシックを鑑賞しにまたここを訪れる。祝祭劇場に向かうため、再びこの州立劇場の前を素通りする時、この日の楽しかった一夜を思い起こすかな?