指揮 マレク・ヤノフスキ
アンドレアス・シャーガー(ジークフリート)、エリカ・スンネガルド(ブリュンヒルデ)、エギルス・シリンス(さすらい人)、ゲルハルト・ジーゲル(ミーメ)、トマシュ・コニェチュニー(アルベリヒ)、シム・インスン(ファフナー)、ヴィーブケ・レームクール(エルダ)、清水理恵(森の鳥)
我が国における「ジークフリート」上演史(オペラとコンサート形式上演)における金字塔とも言うべき名演!
とは言っても、これまでのこの作品の上演回数なんて10回も満たないかと思うが・・・まあいい。過去にベルリン・ドイツ・オペラやベルリン州立歌劇場などの本場物の来日公演もあった中で、これほどまでにハイレベルな「ジークフリート」はなかったと断言してしまおうではないか。
これはやはり、世界中から最高のワーグナー歌手が集まってくれたおかげである。
特にタイトルロールを歌ったアンドレアス・シャーガー!!
彼については、先月ベルリンで「パルジファル」を聴き、そのブログ鑑賞記で私は次のように綴っている。
「ちょっと前までは秘密兵器だったが、今やヘルデンテノールの切り札にまでなりつつある。」
今回の公演を聴いて、改めて思い直した。
「なりつつある」じゃない。もう既に「なっている」。
これから言うことはかなり大袈裟かもしれない。それでも声を大にして言わせてほしい。
世界は今、本物のワーグナーテノールを手にした。ルネ・コロ以来途絶えていた本物のヘルデンテノールがついに出現した。カウフマンでもフォークトでもない。アンドレアス・シャーガー。彼こそ偉大なるルネ・コロの後継者だ。
コロを尊敬し、彼の歌を心から愛していた私にとってこんなに嬉しいことはない。
本当は他の歌手もみんな素晴らしかったのだ。指揮をしたヤノフスキだって、オケのN響だって、みんな目を見張るくらいだったのだ。だからこそ一番上に書いたように、金字塔とも言える名演になったのだ。
だけど、今、申し訳ないけど、個人的にシャーガーと並列にして語りたくない。今回は、今回だけはどうか許してほしい。シャーガーだけを大絶賛させてほしい。
だって、私は涙が出るくらい嬉しくて、嬉しくて、本当に仕方がないのだ。