クラシック、オペラの粋を極める!

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2016/4/12 都響

2016年4月12日   東京都交響楽団定期演奏会   東京文化会館
指揮  フランソワ・グサヴィエ・ロト
 
 
つい先日、書店で「レコ芸」4月号を立ち読みした。(決して買うことはない。)
マンネリな企画である「作品・曲別の名盤上位特選」が記事になっていた。
パラパラとめくってみると、例えばR・シュトラウス交響詩ならカラヤン指揮ベルリン・フィルだったり、ワーグナーの指環だったらショルティ指揮ウィーン・フィルだったり、20年前30年前、あるいはもっと古い録音が、未だにほとんどの曲において第一位を占めていた。「やれやれ」と思わず呆れてしまった。
 
そんな中、ページをめくる手が止まり、思わず目が点になったのが、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽であった。長らくトップに君臨していたブーレーズ盤に取って代わり、首位の座に輝いたのが、「春の祭典」=T・クルレンツィス盤であり、「ペトルーシュカ火の鳥」=F・X・ロト盤だったのだ!新盤が伝説の名盤を陥落させることがどれほど至難の業であることか!これは新鮮な驚きであり、相当なインパクトであった。
 
この日の公演は、まさにその、フランソワ・グサヴィエ・ロトによるペトルーシュカ火の鳥だった。
興味津々、ワクワク楽しみで会場に足を運んだが、「なるほど、これは確かにすごい!」と唸ってしまった。録音の評価は伊達ではなかった。正真正銘の本物だったのだ。
 
複雑なスコアを明晰に解析し、どの音も、どのパートも、音が混ざらず濁らず、クリアかつシャープ。内声部のハーモニーは立体的で、構成力が半端ない。リズムも歯切れが良く、バレエ音楽特有の情景描写も見事。
 
恐るべしグザヴィエ・ロト・・・。
ストラヴィンスキーで伝説の名盤を追い抜き、ここで一気にブーレーズの後継者に名乗りを上げた。同じフランス人。これ以上相応しい人材はいないだろう。
 
個人的に、火の鳥の全曲版(1910年版-今回演奏されたもの)は、昔からどうも苦手だった。「組曲版で十分」といつも思っていた。
全曲版を聴いて退屈しなかったのは、今回、生まれて初めてかもしれない。これは私にとって何を隠そう奇跡と言ってもいい。