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2023/4/10 神々の黄昏

2023年4月10日  ベルリン州立歌劇場(フェストターゲ2023)
ワーグナー  楽劇ニーベルングの指環より 「神々の黄昏」
指揮  トーマス・グッガイス
演出  ディミートリ・チェルニャコフ
アンドレアス・シャーガー(ジークフリート)、ラウリ・ヴァサール(グンター)、ミカ・カレス(ハーゲン)、ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー(アルベリヒ)、アニヤ・カンペ(ブリュンヒルデ)、マンディ・フリードリヒ(グートルーネ)、ヴィオレッタ・ウルマーナ(ワルトラウテ)   他


演出については、コメントしない。「ジークフリート」鑑賞記のところで触れたし、もういいだろ。どうせチェルニャコフなんだから。

それよりも歌手について語ろう。
まず、お久しぶり、ウルマーナ。
かつて世界的メゾ歌手として一世風靡していたが、最近は一流歌劇場のキャストの中に名前をあまり見かけなくなっていた。相変わらず頑張っているのですね、そりゃよかった。
ただ、やっぱり歌唱は以前の勢いからは陰りが見える。年齢的な部分だろうか。

もしかしたら四部作を通じた歌手のMVPは、ミカ・カレスかもしれない。
ラインの黄金」でファーゾルト、「ワルキューレ」でフルンディング、そして「黄昏」でハーゲン。
ドスの利いた声。迫力があって、凄みがある。特にハーゲンは、ドロドロの憎悪をたぎらせる恐ろしさが必要で、カレスはこれを持っている。
彼を聴いたのはこれが初めてではないが、今回強いインパクトを残し、記憶に刻まれた。今後も注目していこうと思う。

シャーガーとカンペの黄金コンビは完璧、盤石。二人ともドイツを代表するスーパー歌手。はるばるベルリンにやって来たからこそ聴ける、極上のご褒美。ドイツ遠征の醍醐味。


それにしても、改めて「黄昏」はすごい曲。今さら何だが。
第一幕のジークフリートブリュンヒルデの二重唱から「ジークフリートのラインへの旅」になだれ込んでいく場面の絶頂的興奮。
第二幕の群衆が集う場面の合唱のド迫力。ジークフリートの偽りの誓いとブリュンヒルデとの対決の場面の手に汗握る緊迫感。
第三幕のクライマックス、すべての観客が固唾を飲んで注目するブリュンヒルデ絶唱

ピットに並ぶ6台のハープ。壮観。

それとやっぱり、「黄昏」単独ではなく、チクルスで、通しで3作を聴いてきてからの最終章、というクライマックス感が大きいんだろうな。聴き終わった後の充実感がハンパないもんな。


指揮のグッガイス。
何も言うことはない。キミには前途洋々の未来が待っている。ぜひ近い将来、世界の歌劇場を席巻し、「あー、あの時バレンボイムの代役だったんだよな」としみじみ振り返えられるような大物指揮者になってほしい。フィリップ・ジョルダンのように。(ジョルダンもまた、かつてバレンボイムの弟子だった。)

もっとも、私がそこまで見届けられるほど長生きできるかどうかは分からんが。