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2016/3/18 フェストターゲ1(ベルリン州立歌劇場)

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2016年3月18日   ベルリン州立歌劇場(フェストターゲ)   シラー劇場
演出  ユルゲン・フリム
ベジュン・メータオルフェオ)、アンナ・プロハスカ(エウリディーチェ)、ナディーヌ・シエッラ(アモール)   他
 
 
フェストターゲの開幕初日。これがプレミエ公演である。
記念すべき20周年のオープニングを飾る新演出がバロックの作品とは・・・。意表を突かれた。でも、バレンボイムバロックというのも、それはそれで興味をそそられる。面白そうではないか。
 
実は同日、ベルリン・ドイツ・オペラでR・シュトラウス「ダナエの愛」をやっていて、ものすごく迷った。昨年に日本でも二期会が上演したが、基本的に滅多に観られないレア作品。普通に考えれば、せっかくのチャンス、逃すべきではない。シュトラウス・マニアなら、なおさらのこと。
 
ところが今年、なんとも珍しいことに、他の場所でもこのレア作品を鑑賞することができる。夏のザルツブルク音楽祭である。つまり、チャンスはもう一回ある。
「ダナエはザルツで聴くとしよう。今回は、そういうことでパス。」
フェストターゲに行く!と言っておいて、目玉のプレミエ作品を観ないというのはなんだか味気ない。それに、ベルリン・ドイツ・オペラの「ダナエの愛」はDVD映像化されていて、既に中味を見てしまっているというのも決心を後押しする理由になった。
 
フェスティバルの開幕日ということで、会場には豪華に着飾った人で溢れている・・と思いきや、意外とそうでもない。
でも、私はむしろこういう普通の雰囲気の方が好きだ。ガラと銘打つような特別公演で、香水プンプン漂わせながらシャンパン飲んでいるスノッブな奴らを見ると、「オマエら着飾るのが目的なのか音楽が目的なのか、どっちなんだ?」と問い詰めたくなる。重要なのは音楽。社交ではない。当たり前のことです。
 
演出を担当したのは、バレンボイムとは名コンビであり、芸術面における同士ユルゲン・フリム。過激に走らないどちらかといえば堅実な演出家である。今回も比較的穏当な演出になるのかと思ったが、ところがどっこい、かなり難解。
現代に置き換えているが、エウリディーチェを火葬するシーンで始まるので、筋書きどおり彼女は死んでいるのだと思う。
ところが、その後の展開はカルト集団に誘拐されたエウリディーチェの救出作戦みたいになって、なんだか意味不明。現実なのかそれとも空想なのか、不明。幸せな結婚生活を象徴するようなカップルのダンスなども挿入されて、それが何なのかも不明。
結局、なにが演出されたのか最後までよく分からず、モヤモヤだった。別に時差ボケでボーッとしていたわけではありません。
 
だからというわけではないが、やっぱり公演最大の見どころ、というか聴きどころは、バレンボイムの音楽なのだと思う。
いわゆる古楽奏法ではない現代奏法。別にバロックだからといって、変にやり方を変えないのがいい。いつものとおり、非常に引き締まった堂々たる音。作品全体を大きく捉え、流れを構築する。ストーリーではなく、音楽の中から、スコアの中からドラマを見つけていくのがバレンボイム流だ。
座って指揮している時は、その姿は自分の座席からは見えないが、「ここだ!」という場面ですくっと立ち上がると、そこに猛然とタクトを振っている姿がピットから現れる。すると、とたんに音楽の炎が燃えさかる。ここらへんがさすがバレンボイム。めちゃかっこいい。
 
歌手では、カウンターテノールのB・メータを起用したのは大正解。なんたって彼はこの世界のスペシャリストであり第一人者。オルフェオ役を完全に手中に収めている。声も美しく、とてもよく響く。
一方のプロハスカは、一生懸命に歌い、演じるその姿がなんとも可憐でチャーミング。オジサン、思わずファンになっちゃいそうです(笑)。