クラシック、オペラの粋を極める!

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2002/4/27 ニュルンベルクのマイスタージンガー

2002年4月27日  ベルリン州立歌劇場(フェストターゲ)
ワーグナー・チクルスⅡ』
ワーグナー   ニュルンベルクのマイスタージンガー
指揮  ダニエル・バレンボイム
演出  ハリー・クプファー
ロベルト・ホル(ザックス)、ルネ・パーペ(ポークナー)、アンドレアス・シュミット(ベックメッサー)、ライナー・ゴールドベルク(ヴァルター)、ステファン・リュガメル(ダーヴィッド)、エミリー・マギー(エヴァ)、カタリーナ・カンマーローラー(マグダレーネ)   他


この日、当初のヴァルター役だったフランシスコ・アライサが急遽降板となり、代役でライナー・ゴールドベルクが出演した。

ライナー・ゴールドベルクかぁ・・・。
80年代において、世界的に活躍していた往年の歌手だ。ワーグナーの諸役で、一時期重責を担っていた。バイロイトでヴァルターを歌ったこともあるし、Bunkamuraが招聘したバイロイト音楽祭引っ越し公演でも来日している。

しかしなあ・・。ちょっと峠を越しちゃった感があるわけである。
前日のトリスタンでは、メロート役で出演していた。
そう、今はメロートくらいが丁度いいんじゃないかなあ。

・・・なんて思っていたが、実際に聴いてみて、ゴールドベルクさん、良かった。峠を越しちゃったなんて言って、本当にゴメン。
そりゃ確かにちょっと年取った感じだが、声の張り、輝き、威力は十分にあった。
ただ、エヴァ役の若くてチャーミングなマギーと並んだ時、私は思わず心の中で突っ込んでしまった。
「親子かよ!」(笑)。
本当にゴメン。

その他の歌手では、一番肝心のザックス役のホルが、残念、イマイチ。
私自身の好みの問題だと思いたいが、声がとにかく重い。重厚感ではなく、鈍重感。

このオペラは、なんだかんだ言っても、ザックスにかかる部分が大きい。それがイマイチと感じた時点で、全体としてアウトなんだよな。

本公演で冴えを見せていたのは、ピット内のオケ、州立歌劇場管弦楽団バレンボイムの躍動的なタクトに導かれ、溌剌颯爽とした演奏が今も記憶に鮮明だ。

長年オペラを観続けていると、音楽の流れをリードする担い手が、舞台上ではなくピットの中に存在するという事に遭遇することがある。

もちろんそれは、すなわち指揮者のコントロールが卓越しているからであって、やっぱりバレンボイムの功績なんだろうけど、この時私は「うーん、さすがシュターツカペレ・ベルリンバレンボイムに鍛えられて、すっかり立派なワーグナー・オケに変貌したよなー」と思ったのであった。

クプファーの演出とステージについての感想は、ちょっと記憶が薄れているので、略。
「全体としてアウト」と上に書いたが、ザックスのイマイチ感が舞台の印象にまで及んでしまったとしたら、そりゃ罪なことだぜ、ホルさんよ。