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2015/11/11 コンセルトヘボウ管

指揮  グスターヴォ・ヒメノ
ベートーヴェン  交響曲第6番田園
 
 
 多くの方が今回の来日公演の指揮者について「誰??」と訝しがったことだろう。もちろん私もその一人。
 そりゃそうだ。ヨッフムハイティンクから、近年のシャイー、ヤンソンスに至るまで、これまでの来日公演では常に名門に相応しい大物首席指揮者がタクトを振ってきた。
 
 だが、コンセルトヘボウ管は来年に首席指揮者が交代する。ある意味過渡期と言える。
 まあいいではないか。ちょっと知名度は低いが、それでもアーティスティック・リーダー兼首席指揮者らしいのだ。是非「名前」ではなく「実」で聴いてみよう。
 
 そのヒメノであるが、やっぱり‘元コンセルトヘボウ管奏者’という感じがした。オーケストラの引立て役になることを厭わず、純度の高いサウンドを導き出す姿勢に徹している。タクトは非常に分かりやすくて正確。指揮者でありながらオーケストラ側に立っている、そんな印象だ。
 このタクトなら奏者は安心して気持ち良く演奏出来るに違いない。そして、そういうタクトこそが結果として最良に結びつくことを、この指揮者は知っている気がする。
 
 かと言って、自らの主張を封じているかというと、決してそんなことはない。バランス、テンポ、抑揚など、「ここはこうしてほしい」という部分はしっかり表現されている。時折テンポを急激に上げながら突進していく様は、若手らしい溌剌さを覚える。
 
 強烈なリーダーシップ、個性、独創性によって、オーケストラの次元を高めていくことが出来る指揮者は素晴らしい。
 一方で、無理に我を押し出さなくても、オーケストラの最良を引き出すことは可能。そうした技術も立派な才能である。
 
ただし。
出身であり、なおかつ世界的銘器コンセルトヘボウ管だからこそ成し得た成果かもしれない。
これが別のオーケストラの客演だったら果たしてどうか。
今年7月、都響に客演した公演は、残念ながら聞き逃した。
今年からルクセンブルク・フィルの首席指揮者に就任したそうだが、ヒメノの真価が問われるのは、こうした「コンセルトヘボウ以外」にかかっているのではないだろうか。
 
将来彼が別の外来オケと一緒に来日公演を果たす日は、果たしてやって来るか?
 
指揮者のことばかり書いてしまったが、コンセルトヘボウ管は相変わらず上手い。
ヤンソンスであろうと、ヒメノであろうと、誰が振っても文句なく上手い。オレが振ってもあの音鳴るかな?(笑)