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指揮者の降板問題

サンクトペテルブルク・フィルの来日公演で、指揮者テミルカーノフが降板となってしまった。代役はニコライ・アレクセーエフ。同フィルの副芸術監督ということらしい。
 
今月はこれ以外にも、バイエルン放送交響楽団の来日公演で、ヤンソンスがキャンセル。両方とも主催マネージメント社はジャパン・アーツ。同社からしてみれば、どちらも想定外の事態で、事務方は相当焦ったに違いない。
 
指揮者が変更になったが、演奏曲目まで変更になったバイエルン放響の東京芸術劇場公演を除き、チケット代の払い戻しはしないことを主催者は発表済。
 
だが、ファンとしては複雑、煮え切らない思いだろう。
なぜなら、オーケストラ公演の魅力度において、指揮者が占める割合はとてつもなく高いからだ。
指揮者はオーケストラの顔。代名詞のようなものである。指揮者の魅力がそのままオーケストラの魅力と言っても過言ではない。だから「この指揮者が振るからチケットを買う」という消費行動に直結するのである。
 
もっと言えば、指揮者個人の熱烈なファンも少なからずいて、そういう人たちにとってはオーケストラとか演奏曲目は関係がない。なので、お目当ての指揮者がキャンセルになってしまった瞬間、公演に行く意味、チケットを買った意味がなくなってしまうのだ。
 
一方、主催者からしてみれば、あくまでもオーケストラ公演。オーケストラの公演が成立する以上、キャンセルや払い戻しをする必要はないという立場を取る。契約上の支払いや売上げ、利益に影響し、会社の死活問題となる。だから返金は極力したくない。
 
これは相当根深く、シビアな問題だ。
 
さて、私であるが、今回の一連の指揮者変更は、やっぱり残念、がっかり、興ざめ。
それでもプログラムが変更にならなかった「イワン雷帝」の公演は、楽しみであることに変わりない。
私にとって「聴きたい曲を鑑賞する」というのは重要で、プライオリティが高いのだ。
 
ということで、特別聴きたいと思わない曲に変更になったバイエルン放響の東京芸術劇場公演は、あっさり払い戻しを受けた。もし払い戻し不可だったら、ヤフオクかなんかで大幅値引きして叩き売ったかもしれない。(そもそも指揮者も曲も変更しておいて払い戻ししない、なんて詐欺みたいなもんだが。)
 
テミルの代わりに指揮者を務めるアレクセーエフ。
紹介されたプロフィールのこれまでの客演オケの中に、ロイヤル・コンセルトヘボウ管があったが、私は2006年4月アムステルダムで鑑賞した。
なんと、代役、ピンチヒッターだったのだ(笑)。
元々はネーメ・ヤルヴィだった。当日、ホールに行ってこの事実を知り、がっかりしたことを覚えている。
その後、2008年4月に新日本フィルにも客演。
残念ながら、両公演とも演奏そのものの記憶が薄いのがやや気がかりではある。
 
サンクトペテルブルク・フィルは、今回アジアツアーを組んでいて、韓国や台湾では代役指揮者は、なんとシャルル・デュトワだったそうだ。
 
うーん、日本もデュトワなら良かったのに・・。
例のセクハラ問題ですっかり第一線から姿を消してしまったデュトワ。自業自得、仕方がないわけだが、それでも彼の指揮者としての才能、音楽性まで消し去ってしまうのは、少々惜しい。私は機会があれば、また聴きたい。
絶対に許し難い、と思う人にとっては申し訳ないけどさ。