2022年9月17日 NHK交響楽団 C定期演奏会 NHKホール
指揮 ファビオ・ルイージ
エヴァ・スタイナー(オーボエ)
R・シュトラウス 交響詩ドン・ファン、オーボエ協奏曲、ばらの騎士組曲
ルイージは多分シュトラウスが好きだし、得意なのだと思う。彼のタクトを眺めていて、そう感じる。シュターツカペレ・ドレスデンとの録音もあるみたいだし、そのシュターツカペレ・ドレスデンとの来日公演でシュトラウスを演奏したこともあるし、そうした自信もあるだろう。タクトが実に手際が良い。
この日の一曲目ドン・ファンでは、なんかオーケストラとしっかり噛み合っておらず、ちぐはぐな印象を受け、「あれれ? おやおや?」と思った。なぜだろう。私の耳がおかしかったのか、何かの先入観を持って聴いてしまったのか・・。
メインのばらの騎士では、一転してシュトラウスの絢爛たる管弦楽法を全開に打ち出し、美麗なうねりを生み出していた。そうそう、これこれ。
やっぱり、ルイージはオペラ作品になると、更に扱い方に優れて、グレードが上がるんだな。
ふと、2007年ザクセン州立歌劇場来日公演で振ったばらの騎士を思い出した。
そういえば、ルイージのオペラは2011年6月、メトロポリタンオペラとの来日公演以降、お目にかかっていない。東日本大震災と原発事故という大変な年に日本に来てくれた、あの時だ。
あれからもう11年も経っている。またルイージが振るオペラをぜひ観たいものだが、そのチャンスは巡ってこないものだろうか・・。
スタイナーのオーボエは、美しい音色で魅了。デンマーク国立管の主席奏者ということで、きっと同オケの首席指揮者を務めるルイージのおメガネに適ったのだな。
シュトラウスのコンチェルト、作品の中で、オーボエのソロ旋律を影で優しく支えるヴィオラのソロがある。
私としては、演奏終了後、指揮者でもソロ奏者でもいいけど、ぜひこのヴィオラを称え、握手するなり起立させるなりしてほしいところ。
でも、何も無し。いかんですなあ(笑)。
オーケストラを見ていたら、ヴィオラ主席の周辺、隣りの次席奏者や、チェロの1プルトの人たちなどが「ナイスでしたよ!」と声をかけていて、これにヴィオラ主席も満足そうに笑顔で応えていた。
いいですね、仲間って。