クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2015/10/31 イオランタ

イメージ 1
 
 
イメージ 2
 


2015年10月31日   エアフルト劇場
チャイコフスキー  イオランタ(コンサート形式上演)
指揮  サムエル・ベヒリ
イリア・パパンドレウ(イオランタ)、トーマス・パウル(ヴォーデモン)、ヴァスゲン・ガツァーリャン(レネ国王)、ユーリ・バトゥコフ(医師)、ヴァレリー・トゥルマノフ(ロベール)   他
 
 
 旧劇場から別の場所に建築したまだ新しそうなエアフルト劇場。外観も内装も現代的かつ機能的。客席は列ごとに段差があるので、前列の人の頭で視界が妨げられることなく、舞台が非常に観やすい。外人はデカイから助かる。
 
 さてイオランタであるが、この真珠のように美しい作品を私はこれまでたったの2回しか聴いたことがない(本公演を含めて)。しかもその2回ともがコンサート形式上演。大好きな作品を生鑑賞できるだけでも十分満足だが、やはりいつかは本格舞台上演で鑑賞したいものだ。
(※今年の2月にメトでネトレプコ主演の新演出があり、フローレス&ディドナートの「湖上の女」と併せて観に行けないか探ったのだが、2月は時期的に難しかった。結局翌月の3月になってしまい、イオランタ観賞は叶わなかった。)
 
 本公演においても、「やはりコンサート形式上演やむ無しか・・」と思わせられる光景を目の当たりにする。楽譜にかじりつきの歌手が多いのだ。ロシア語の壁が大きく立ちはだかるせいだろう。ある程度を専属歌手に頼らざるを得ない地方劇場では仕方がないことかもしれない。
 
 そんな中、唯一暗譜で歌い通したタイトルロールのパパンドレウ。抜群の存在感を示し、聴取をくぎ付けにした。ロンドン生まれドイツ育ちのギリシャ人とのこと。演技をし、豊かな表情を使い分けながら生き生きと歌い上げ、暗譜で歌う強みを存分に発揮した。こういう歌唱を目の当たりにすると、オペラというのは物語であり、歌というのは人間の感情なのだなあと改めて思う。
 
 一方のヴォーデモン役パウルは、上記のとおり楽譜にかじりつき(笑)。あのさ、せっかくイオランタが横で君を見つめているんだから、見つめ返してあげにゃあ。
 あ、イオランタは目が見えないんだっけ(笑)。
 でもパウルさんはとてもハンサムだったので許す。王女に求婚する若き貴族にとても相応しかった。
 
 カーテンコールで聴衆から一際大きな拍手をもらっていたのが、レネ国王役のガツァーリャン。私自身は「まあまあの普通か」と感じたので、きっと地元に人気の専属歌手なのだろう。
 
 それにしてもイオランタ、本当にいい曲だと思う。苦難を乗り越えた末に喜びが待っている。生の喜び、愛の喜び、自然の美しさの喜び。これらがそのまんま音楽に投影されている。なんて素晴らしい音楽!
 上で、本格舞台上演を観たいと書いたが、コンサート形式上演で十分だから日本でも鑑賞の機会が増えてほしい。本当に心から願う。