クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2015/9/11 東京フィル

2015年9月11日  東京フィルハーモニー交響楽団   東京オペラシティコンサートホール
指揮  アンドレア・バッティストーニ
反田恭平(ピアノ)
ラフマニノフ  パガニーニの主題による狂詩曲
 
 
 バッティストーニには、作品を蘇らせ、覚醒させる力がある。大きな塊が怒涛のごとく動き出す。パワーの源泉は内に秘められた熱気だ。決して力づくではない。
 面白いのは、オーケストラを燃焼させておきながら、ボルテージが上がったところでそこに絶妙なアレンジメントを施すこと。単なる思い付きではなく、スコアの読み取りの中で見出された必然性を感じ取り、瞬時にオーケストラを誘導させているのだ。人によっては変化球に見えても、バッティストーニからすればそれは絶対的な確信であり、いささかの揺るぎもない。
 そうやって聴き慣れた名曲にはこれまでに感じたことがないフレッシュさが加わり、大きな感動を引き起こす。興奮度は高く、それでいて味わいも深い。
 
 この指揮者のタクトによる演奏は、やはり今後も聴き続けなければならないだろう。何かが起こる。何かを起こす。それがバッティストーニの凄さだ。
 
 ラフマニノフのソロを弾いた反田恭平。日本にもついにこういうピアニストが出現したか。クラシック音楽界の正統的な枠を軽々と飛び越えた革命家。彼のピアノからラフマニノフは聞こえてこない。聞こえてくるのは「俺」というピアニスト。眉をひそめる保守派に対し、本人は「いったい何が悪いんだ?」とどこ吹く風。自信は天賦の才能と確固たる技術が支えている。出る杭となって打たれても微塵にも屈しない尖りが、既成概念をぶち破る。
 
 彼は堂々たるスターになるのか。それとも異端児、キワモノとして我が道を行くのか。それは、これから彼が何を追求するのかによって自ずと定まってくる。