クラシック、オペラの粋を極める!

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2019/9/23 R・ブッフビンダー ピアノリサイタル

2019年9月23日   ルドルフ・ブッフビンダー ピアノリサイタル  東京オペラシティコンサートホール
ベートーヴェン  ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、第21番「ワルトシュタイン」、第23番「熱情」


2013年ウィーン・フィル来日公演の際、ティーレマンベートーヴェン交響曲全曲チクルスと共に、弾き振りによるピアノ協奏曲全曲チクルスを敢行した記憶がまだ新しいブッフビンダー。
ベートーヴェン生誕250年を迎える2019/20シーズンにおいても、ウィーン楽友協会の主催によって、再度ピアノ協奏曲全曲チクルスのソリストを担うとのこと。(ただし、弾き振りではなく、指揮者とオーケストラは豪華に毎回変わる)

つまり彼は、現代においてオーストリアを代表するピアニストであり、かつ、ベートーヴェン演奏の第一人者と言えそうだ。

でも・・どうなんだろう、そこらへん、日本において真っ当な評価と地位を得ているのだろうか。

この日のプログラムのプロフィールに「現代の伝説的なアーティストの一人」と記載されていたのを見て、思わず「マジかよ」と呟いてしまった私は、とんだ過小評価をしているのだろうか。
「いいピアニストであることに間違いはないけど、ちょっと地味かな」という私の思い込みは、的外れなものなのだろうか。

それを確かめるべく、オペラシティコンサートホールに向かう。
演奏作品はまさにベートーヴェンの王道、名曲中の名曲。真価を問うのにこれ以上相応しいプログラムはない。

演奏を聴いた私の感想を率直に述べる。
やはり「地味」という言い方は、不当だろう。(もちろん、派手さとは対極のピアニズムだが。)

「節度を伴ったエレガンス」
この形容が的を射ているような気がする。
節度があるからといって、決して抑制的、消極的な演奏ではない。音楽はかなり動きがある。
だが、そこで我を張るのではなく、あくまでもベートーヴェンの解釈、作品の志向に合わせていくアプローチ。それこそがまさに演奏家の節度。そこに上品さ、つまりエレガンスが漂う。
ブッフビンダーは、これらを巧みに理性的にコントロールしている。非常にインテリジェントなピアニストだ。