2018年6月1日 東京フィルハーモニー交響楽団 東京オペラシティコンサートホール
指揮 アンドレア・バッティストーニ
パヴェル・ベルマン(ヴァイオリン)
まずはソリストのベルマンに腰を抜かした。
いや、腰を抜かしたというより、背筋が凍ったという感想の方が言い得ているかもしれない。
研ぎ澄まされた感性、鋭敏で正確無比なテクニック、誇張を排した端正な演奏。これらのスタイルが、曲にぴったりはまっているのだ。ショスタコーヴィチはかく演奏すべし。
聴いていて、あるいは演奏する姿を見ていて、「まるで冷酷非情なスナイパーの仕事みたいだな」と思った。そうだ。奴はゴルゴ13だ。ピストルを向けられたら、どんな慈悲を懇願しても無駄で、一発で額を撃ち抜かれるだろう。怖っ。
同じような印象を持っている人物がいる。
サッカー・ドイツ代表監督ヨアヒム・レーヴだ。彼がドイツ代表を率いている限り、ドイツは無敵に違いない。
それに比べて我が国の代表は、どうみてもうさぎちゃんなんだよな・・。
・・・すまん話がどんどんと離れていく(笑)。
音楽の話に戻そう。バッティストーニだ。
彼がタクトを振ると、つむじ風が沸き起こる。風圧を感じる演奏だ。
特に第2楽章と第3楽章が秀逸。第4楽章のテンポ、コーダの転結はなかなか笑えたが、それもバッティストーニの揺るがぬ解釈と信念が貫かれたものであり、否定する筋合いはない。
イタリアらしい情熱と血潮そのもののバッティだが、ロシア物との相性も非常に良いと感じた。来年1月のシェヘラザードもますます楽しみになってきた。