指揮 アリ・ラッシライネン
ヴェッセリーナ・カサロヴァ(メゾ・ソプラノ)、ファビオ・ディ・カゾーラ(クラリネット)
シューベルト Versunken D715
シューマン Widmung op25
J・シュトラウス こうもりより 序曲、オルロフスキーのアリア
そりゃ本拠地でトーンハレ管弦楽団が聴ければ良かったさ。だけど、やってないものはしようがない。1月1日に公演があるだけでもありがたいのよ。意外とやってないんだぜ、この日は。
それに何と言ってもニューイヤーに相応しい華やかなソリストが招聘されているではないか。
カサロヴァが歌うプログラムは定番中の定番。これまで何度も披露してきているだけに、余裕綽々。どのように歌えばスポットライトが当たり、お客さんが喜んでくれるか、百も承知。彼女が登場した瞬間、会場はカサロヴァの独演会と化す。
演歌のこぶしのような独特の歌いまわし。手をかざし、顔の方向は左斜め45度。いつものカサロヴァ節に、こちらも思わず笑みがこぼれる。いよっ!千両役者。
新鮮な驚きを与えてくれたのは、クラリネットソロのディ・カゾーラ。上手い!
当カンマー・オーケストラに在籍している奏者とのことであるが、帰国して調べてみたら、国際コンクールを制覇した実績もあり、ソロアルバムもいくつか出しているソリストだ。私はその名を知らなかったが、ひょっとすると有名なのかしら。
トーンハレは、美しくかつ荘厳な雰囲気を持つホールだ。こういうホールでコンサートを聴くと、「ああ、ヨーロッパにいるんだなあ」という実感が沸き起こる。
ただし、こうしたシューボックス型のホールでは、チケットを買う際に注意が必要だ。間違っても二階左右のバルコニーで、三列目よりも後方の席を買わないこと。なぜならステージが全く見えないから。(ウィーンのムジークフェラインにもこうした席が存在する。)
午後5時開演で7時終演。なんと前日の歌劇場でのジルヴェスター・ガラに続き、この日もグラスシャンパンの無料サービス付き! いやいやー、それじゃ遠慮なく。おかわりも。どうもすみません。
ふと気が付くと、演奏を終えた何人かのオーケストラ奏者も社交の輪に加わって、お客さんをおもてなししている。ソロのディ・カゾーラさんもいて、あちこちで記念写真に収まっていた。こういうファン・サービスは、決してメジャーではない団体では必要なのかもね。
さすがにカサロヴァさんは見当たりませんでしたが・・・当然か。