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2013/8/19 ヴェルディ・コンサート

2013年8月19日      テアトロ・ロッシーニ
ヴェルディへのオマージュ「恋は薔薇色の翼に乗って」D'amor sull'ali rosee
指揮  ダニエレ・アギマン
管弦楽  オーケストラ・シンフォニカ・G・ロッシーニ
マリーナ・レベカ(ソプラノ)
リゴレットよりジルダのアリア
群盗より序曲、アマリアのアリア
ジョヴァンナ・ダルコよりシンフォニア
シチリア島の晩鐘よりエレナのアリア
海賊より序曲
椿姫よりヴィオレッタのアリア
 
 
 れっきとしたロッシーニ音楽祭の主催公演ではあるが、イタリアを代表する偉大な作曲家の生誕200年ということで、ヴェルディ作品のみのコンサートである。プログラムの半分がマリーナ・レベカの独唱によるアリアなので、レベカのリサイタル公演とも言えるだろう。
 ここで表記についてお断りしておく。これまでこのソプラノ歌手のことを私はマリーナ・レベッカと呼んでいたが、勝手な思い込みであった。よく見たらMARINA REBEKAであったため、今回から訂正することにした。
 
 ところで今回のプログラムであるが、公式HPでは事前に曲目が発表されなかった。別に「当日のお楽しみ」というわけでもないだろうし、発表してくれてもいいものだと思うが。
 公演のサブタイトルにあった「恋は薔薇色の翼に乗って」D'amor sull'ali roseeは、「トロヴァトーレ」よりレオノーラのカヴァティーナの一節。なので、当然この曲が入っているかと思っていたら、まるで裏をかかれたかのように無し。
 
 何よりも驚いたのが、管弦楽のみの演奏曲がヴェルディの作品の中でもマイナーの部類に属するものばかりであったこと。ナブッコとか運命の力とかシチリア島の晩鐘らの有名な序曲が当然入るかと思いきや、これまた虚を突かれたかのように無し。
 「群盗」なんて、プログラムに現地語表記で「I Masnadieri」と書かれてあって、「なんじゃこの曲??知らんっ!」と思ってしまった。
(ちなみに、日ごろ偉そうなことを言っているワシであるが、ヴェルディのオペラ、全部を知りません。どうもすみません。「専門家じゃあるまいし、全部知る必要が果たしてあるのか?」と開き直らさせていただきます。)
 
 さて、注目のM・レベカである。
 今年2月にアムスで聞いた時、底知れぬ実力に私は目を丸くして驚いた。なので、今回のフェスティバルではギョーム・テルの出演と共に、本公演を非常に楽しみにしていた。
 生まれはラトビアのリガだが、ペーザロ・ロッシーニ・アカデミーの出身。毎年恒例のアカデミー生による「ランスへの旅」に2007年にデビューすると、もう翌年にはソリスト出演契約となって「マオメット2世」に出演し、そのまま同年11月にフェスティバル初の日本引っ越し公演に同行した。
 もちろん私もこの公演に行っているのだが、残念ながら彼女の印象が残っていない。その後に急成長したという可能性もあるが、単に私の見落とし聞き落としなのだと思う。これほどの大器を見過ごすとは、つくづく私も大したことがないな。
 
 彼女の特徴は、まず非常にスケールが大きいこと。テアトロ・ロッシーニは客席数800程度の中規模劇場だが、この程度では小さいと感じるくらい、声がホールの隅々にまでいっぱいに響き渡る。我々は3階のパルコで聴いていたのだが、目の前に声が飛んでくる感じだった。
 
 二番目として、歌唱技術が確立していて盤石揺るぎないこと。スケールが大きいと書いたが、決して大味ではなく、繊細な表現も実に巧み。素早いパッセージも見事に整って、このあたりはロッシーニ・アカデミーでばっちり鍛えられたのだろうか。
 
 また、背も高く、凛としていて、立ち振舞いに高貴さを感じる。華やかさを持っているのは、強みだろう。
 
 すっかり私のイチオシ歌手になったレベカであるが、国際的知名度はまだまだかもしれない。日本人にとっては、ほとんどノーマークではなかろうか。
 だが、この際はっきり言っておこう。
「彼女の名前をよーく覚えておくがよい。」
 レベッカじゃなくてレベカだからね(笑)
 
 スターになるには多少の運が必要なのでなんとも言えないが、少なくとも世界の一流歌劇場の常連になる日は近いだろう。
 
 スケジュールを見たら、来月にソウルでトラヴィアータのヴィオレッタを歌うとさ。ほらほら、先越されてるぞニッポン。
 
 大満足の公演だったが、唯一残念だったのは、伴奏のオーケストラが下手クソだったこと。このオーケストラ、HPによるとペーザロやウルビーノなどの地域をホームにした常設オケで、一応プロなはずだが、ちょっといかがなものか。
 それとも「ヴェルディは慣れていないが、ロッシーニなら何とか任せとけ」なのか?
 それなら、そうかい分かったよ。あと一公演「なりゆき泥棒」の伴奏があるから、それは是非とも頼むぜ、おい。