クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ルツェルンへの道

毎年恒例の夏の旅行。今年の行先はルツェルン
 
 世界の著名オーケストラが出演する伝統と格式の音楽祭として昔から定評のあるルツェルンだが、近年その代名詞となっていたのがご存知クラウディオ・アバド。音楽祭のステータスが一段アップしたのは間違いなく氏の功績である。
 ルツェルン祝祭管弦楽団は、ベルリン・フィルの監督を辞して以降アバドが毎年確実に振る唯一のオケとなり、アバドと一緒に音楽したい世界的な奏者、アバドの音楽を聴きたい世界中のファンが毎夏ルツェルンに集結していたのだ。
 
だというのに、そのアバドが亡くなってから、のこのことルツェルンに行こうとするマヌケさよ。
 
そうなんだよなあ・・確かに。
 
 ルツェルン行きを検討したのは昨年秋のことであった。もちろんアバドを聴きたいと思ったからだ。彼の体調不良によりルツェルン祝祭管の来日公演が中止となり、「こりゃ、ますますルツェルンに行かなきゃだよなー」という思いが募った。さっそく計画を立て、予約などの手配を整えた。その後になってアバドが亡くなってしまったのはまったくの想定外だったというわけ。
 
 じゃあアバドが亡くなったのだから旅行計画を白紙に戻すかといったら、それはしない。
 シカゴ響のアジアツアーでムーティ先生がキャンセルしても台湾に出かけた私である。アバドが生きてればそりゃ良かったが、だからと言ってアバドじゃなきゃ嫌だというほど彼のファンでもないのである。
 
 ルツェルンは美しく魅力的な街だ。山と湖に囲まれた風光明媚な国際リゾート地。過去に3度訪れているが、前回の訪問からはもう随分と年月が経っている。フェスティバルの会場である現在のコンサートホールが新しく建設されて以降、まだ一度も訪れていないのだ。聞くところによると、世界有数の音響の良さを誇る名ホールなのだとか。
 
 その素晴らしいホールを体験してくるというのが今回のミッション。聴いてくるのはアバドの代役出場となったA・ネルソンス指揮ルツェルン祝祭管が1公演と、バレンボイム指揮ウェスト・イースタン・ディヴァン管が2公演、計3公演。あとは1日ザルツにも立ち寄る予定。
 
 心配な事が一つある。中東情勢である。今まさに有事の真っ最中だ。民族の垣根を乗り越え、融和を目的として創設したウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラの公演に影響がでなければいいのだが。
 
 出発は14日。台風直撃は免れた。やはりあとは平和だ。