クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2013/12/27 ストックホルム1

 円が安い。今、猛烈に安くなっている。
 
 ちょっと前まで1ユーロが110円くらいだと思っていたら、旅行出発時点で、現金購入レートで148円になっていた。日本経済を全体的に見れば、円安は良い傾向なのかもしれない。だが、我々旅行者にとってはちょっとした打撃である。
 
 よく分からないのは、為替市場において円安になると、対ドルだけでなく、ほとんどすべての通貨に対して円安の進行現象が起こるということだ。為替というのは二国間の相対関係に基づくものではないのか? もちろん100%そうだとは言わないが。
 仮に、だ。アメリカの経済状況によって対ドルで円が安くなったとしても、イギリスとの関係はこれまた別なはず。アメリカと状況が異なるのであれば、円はポンドに対して強くなったっていい。円高ポンド安の現象が起きてもいいのだ。あくまでも理論上は。
 だが、現実的には円安になると、ほぼすべての通貨の為替レートで安くなる。
 なぜ?? まったく経済というのは理解不能
 
 羽田空港で、最初の訪問地であるスウェーデンの通貨クローナを必要最小限だけ持っておこうと思い、1万円を両替したら、たったの500クローナしか手に入れられなくて、思わず絶句してしまった。
 
500クローナ??たったの??
前回訪れた際のレートは、確か1クローナ約15円だったのに・・・。
 
 ホテル代や食事代など、ある程度まとまってかかる代金はカード払いにするとしても、現金が必要になってくる場面は必ず訪れる。実質的に観光に充てられる時間はそれほどないとはいえ、いくらなんでも500クローナでは心許無い。だって、空港から市内へのバス代だけでも片道100クローナもかかるんだぜ。
 
 そう、スウェーデンは物価が高い国なのである。
 ロンドンやスイスも物価が高いが、スウェーデンも引けを取らない。これに円安による割高感が追い打ちをかけるように加わるのだから、まったく気分が滅入る。
 
 これはお金の使い方に少々注意が必要だ。気をつけなければならない。
 所持金に若干の不安を抱えつつ、12月27日正午過ぎ、ようやくストックホルムに到着した。
 天気は曇り。昼間なのにまるで夕方のような暗さ。冬のヨーロッパにありがちな、厚い雲に覆われたどんよりとした空模様だ。
 
 午後1時半、ホテルに到着。
 さっそくチェックインしようとしたら、ホテルのドアが開かない。暗証番号式のロックがかかっている。入るためには呼び鈴を押して中から開けてもらうしかないが、困ったことに、どのボタンが呼び鈴なのかがよくわからない。当然ノックをしても、誰も出てこない。
 
 やれやれ、到着早々いきなりこれだ。
 私はホテルの隣りの楽器店に入り、事情を説明し、どれが呼び鈴ボタンなのかを教えてもらうことにした。親切な店員さんがわざわざ外に出てきてくれたのだが、結局その店員さんもどのボタンが呼び鈴なのかが分からず、二人して立ち往生。マジかよ・・・。
 
ここで店員さんが機転を利かせた。お店からホテルに電話をかけてくれるというのだ。おお、それはありがたい。
さっそく予約確認書を見せてホテルに電話をかけてもらうが・・・相手が出ない・・・。
 
店員さんが言った。
「きっと受付の担当者がたまたま席を外しているのでしょう。しばらく時間を開けて、また来てください。30分後にも。その間に私が再度電話をかけて聞いておいてあげますから。」
 
店員の親切は本当に本当にありがたかったが、大きな荷物を抱えたままどこでどうやって時間を潰したらいいというのだ?
まったく、クソホテルめ。
物価の高いストックホルムで少しでも安いホテルを探した結果が、こうして裏目に出たというわけだ。
 
 カフェでコーヒーでも飲んで過ごせばよかった。だが、手持ちの現金を節約したいという意識がここで働いてしまった。
 結局そこらへんのベンチで佇んで過ごした。長旅の後ようやくホテルに到着したというのにチェックイン出来ず、待たされ、お茶代ケチって寒い外のベンチで時間を潰すこの惨めさよ・・・。
「くそったれ、もう二度とストックホルムに来ねーぞ、この野郎。」などと異国のベンチに座ってブツブツ呟く中年男一人。
 
 30分後、楽器店に戻った。(言われたとおり30分きっかり待つ律儀なニッポン人)
 店員さんはちゃんと電話をかけてくれていて、ドアロックを解除する暗証番号を教えてくれた。いやあ、ありがとうございます。本当に助かりました。
 
 午後2時半、ホテルにチェックイン。受付の担当野郎は「すみません」の一言もない。嫌味の一言でも言いたかったが、こちらの英語のボキャブラが足らず、断念。天気も悪いし、夜にはオペラが控えるので、本日はこれにて終了。部屋でお休み。ということで、初日はなーんも無し。撮った写真もなし。楽しいはずの旅行はイマイチからスタート。