北欧の冬は日が短い。日が昇る時間が遅く、沈む時間が早い。午前8時ではまだ真っ暗で、8時半くらいからようやく薄っすらと明けてくる。午後2時半くらいにはもう夕方の雰囲気となり、午後3時半には闇に包まれる。
しかも天気は前日と同様に良くない。分厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな感じで、なんとも寂しい。気分はイマイチ盛り上がらないが、だからといてホテルに閉じ籠もっているわけにもいかない。コートの襟を立て、寒風を受けながら旧市街の湿った石畳を歩けば、少しは俺もダンディでシブい男に見えるかな(笑)。
さてこの日の観光だが、色々と考えを巡らせた結果、原点に戻ってストックホルムで最も人気のあるスポットに足を運ぶことにした。観光客なら誰もが訪れる名所「市庁舎」と「王宮」だ。
併せて所持金(現金)の使い道を逐一報告していこう。
・市内交通24時間券=135クローナ(2700円だと!高すぎる!)
・オペラ劇場でクロークにコートをお預け=30クローナ(600円だと!ふざけんな!)
(※空港と市内の往復リムジンバス代とオペラ鑑賞後の食事代はカードで払った。)
ということで、この日は所持金335クローナからスタート。しかし本当に物価が高いなあ。
最初に訪れたのが市庁舎。
どこの国にもどこの都市にも市庁舎はあるが、ストックホルムのそれが世界的に有名なのは、毎年ここでノーベル賞受賞者の祝賀晩餐会が催されるからだ。日本人が受賞すると豪華なパーティの様子がテレビなどで報道されるので、お気づきの方もいるかと思う。普段はこうして観光客向けにガイドツアーを実施しているほか、諸々のイベント、また結婚式会場としても使われるそうである。もちろん役所として行政の機能も果たしていて、ガイドツアーでは議会会場も見学することが出来た。
私が前回ここを訪れたのは9月初旬。まだサマーバカンスの最中で、市庁舎は観光客でごった返していた。ガイドツアーのチケットを買うのも大変な有様だったが、今はオフシーズンなのかずいぶんと閑散としていた。
ガイドを務めたお兄さんは非常に明瞭で判りやすい英語を話したため、ほとんどすべての内容を聞き取ることが出来た。ネイティブ以外の人に対しても遠慮なく早くて聞き取れない英語をぶっ放すアメリカ人ども、少しは彼を見習い給え。
次に向かったのは王宮。
見学箇所がいくつもあって見どころ満載。すべてをじっくり見て回ると結構時間もかかる。そして疲れる。
前回訪れた際に最も印象に残ったのが18世紀の国王グスタフ3世がピストルで撃たれた際に着ていた血染めの服の展示品。ご存知ヴェルディの仮面舞踏会のモデルになった事件である。今回もまた見たかったのだが、どういうわけか見つけることが出来なかった。見落としてスルーしてしまったのか、それとも展示室が閉まっていて見ることが出来なかったのか。
王宮の外に出ると、なにやら中庭で人だかりが。
ははーん、さては噂の衛兵交替式だな。
別に見る予定にしていなかったが、たまたま見られるというのなら見てみよう。
人垣の後ろから背伸びするように覗き込むが、ガイジンどもは背が高いのでよく見えん。「くそー」と思っていたら、前に立っていた優しいお方が「どうぞ」と前に招き入れてくれた。いやいや、あんたはいい人だ。
儀式そのものはまあ普通というか、こんなもんかって感じ。それにしてもこの1年で台湾、サンマリノに続き3回目の衛兵交替式見学というのは、なんだか奇遇である。
ん? もう30クローナしかない?? 600円!?
おいおい、もう何にも出来ないじゃんか!これで終わりじゃんか!
仕方がない。旧市街のガムラスタン散策。タダ! 大聖堂見学。タダ!
ちょうど日も暮れてきたし、天気も良くないのでこれでストックホルム終了!
その残りの1クローナは空港ロビーに設置してあった募金箱に入れた。偉いなあ、オレ。
ところで何の募金だったんだろ?