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2013/10/6 読響

2013年10月6日  読売日本交響楽団  横浜みなとみらいホール
ベルリオーズ  劇的交響曲ロメオとジュリエットより
 
 
 スクロヴァ大先生が、ショスタコ5番でぶっ飛びの名演を披露した。
 90歳のマエストロは衰え知らずで、相も変わらず超アグレッシブ。オーケストラによる自主的な音楽発動に身を任せながら悠然と作曲家と会話する、などといったタクトを潔しとしない。自信と確信に満ち、積極果敢に音楽を貫こうとするその姿勢はまことにあっぱれだ。
 特に第4楽章が圧巻。あっと驚く「溜め」の連発、とてつもなくずっしり重いテンポから一気呵成の高速テンポまで千変万化、緩急自在。有無を言わせぬ力で音楽を完全に制圧してしまった。なんという威力であろうか!
 
 スタンダードなタコ5とは一味も二味も違う演奏に、会場にいた多くの人が唖然とし、そして舌を巻いたのではないかと思う。
 
 だが、私は演奏を聴きながら、ほくそ笑んでいた。「やはりやってくれたか」と一人悦に入っていた。何を隠そう、この演奏スタイルを知っていたのである。
 
 スクロヴァ先生の指揮によるショスタコ5番の録音CDが出ているのをご存知であろうか。
 オーケストラはミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)。1961年録音だというから、なんと50年前だ。このCDは私のお気に入り。秘蔵名盤として愛聴している。
 決して技術的に優れた演奏というわけではない。だが、指揮者によってぐいぐいと引っ張られるかのような強い求心力があり、惹きつけられるのである。
 
 今回読響と繰り広げた演奏は、CDに比べてさすがにテンポは大分遅くなっていた。しかし、溜めや緩急の付け方はこの録音とさほど変わらない。全て同じではないとはいえ、50年経っても変わらぬ解釈が刻まれていたことが、ことのほか嬉しかった。
 
 読響も熱演だった。特にヴァイオリン群の一糸乱れぬ統制が見事だった。コンマスの日下さんが的確にリードしていた。ソロもうまかった。読響は有能なヴァイオリン奏者を迎え入れたと思う。