指揮 ダニエル・バレンボイム
S・ハッダード Que la lumière soit
ツェルノーウィン At the Fringe of Our Gaze
これが8月旅行の最後を締めくくる公演。いよいよラスト、さあ気合いを入れて臨み、有終の美を飾りましょう・・・というふうにしたかったのだが。
わたくし少々お疲れモード。長ーいマイスタージンガーの鑑賞疲れが残っていたのか、それともマイスターを観終えた時点で、すっかりおしまい気分に達してしまったのか。
そう言えば、前回2011年のザルツでも、トリを飾ったのはバレンボイム指揮のW・E・D・オーケストラコンサートだった。この時もダブルヘッダーで、その前にムーティ指揮のオペラ「マクベス」を鑑賞し、すっかりおしまい気分になってしまったのだ。気が緩み、眠気を催してしまった。
ヤバイ。シチュエーションが一緒ではないか。あの時の二の舞いにならなければいいが。
一曲目のシチリア島の晩鐘、これは良かった。
W・E・D・オーケストラは俊英揃いで、技術的にもとてもハイレベル。威勢が良く、鮮やか。これでお疲れモードが一気に吹き飛ぶかと思ったのに・・。
始まったよ、訳の分からん音楽が。きれいなメロディーなど皆無、不規則なリズム、つんざく不協和音。あーあ気持ち悪。
もうこうなったら耳を塞ぐに限る。目をつぶり、意識を音楽から遠ざける。
この時の私の態度は、かなり感じ悪かったと思うよ。あからさまに「こんな音楽聞いてられっかよ」という姿勢丸出しだったからね。
後半もまったく同じ。せっかくワーグナーの芳醇な音楽に浸ったかと思いきや、またまたお化け屋敷のBGMのお出まし。いい加減にしろって。
それにしても指揮者バレンボイムの存在感は絶大。彼がタクトを振り下ろした瞬間、閃光が瞬く。懐が広く、そしてスケールが大きい。定評のあるワーグナーの演奏では孤高の世界を築いていた。オペラもガッティじゃなくてバレンボイムだったらどんなに良かったことか。
終演は午後11時を回った。この時間になると、食事にありつけるお店が極端に減る。
遅くまで開いているお店を知っていて、まっすぐそこに向かったのだが、店が跡形もなく消えていた。ゲッ、つぶれたか?
外は雨。さまようのも嫌なので、もうどこでもいいと行き当たりばったりで飛び込んだら、そこはザルツ屈指の高級ホテル「ゴルデナー・ヒルシュ」直営レストランだった。メニューに書かれた料理の値段を見て絶句。でももう後には引けない。必要最小限の注文で、最後の夜に乾杯しました。
おわり。