本当は前日の21日(土)にN響を聴き、22日(日)はゼッダ指揮東京フィルだった。ところが、21日は急用が発生してしまってコンサートに行けず、22日は肝心のゼッダが体調不良で来日中止。ゼッダが来日しないのなら行ってもしようがないと思い、22日は急遽NHKホールに駆けつけ、当日券を買った。東京フィルのチケット代は無駄になってしまったが、どうしてもブロムシュテットのブラームスを聴きたかったのである。
2013年9月22日 NHK交響楽団A定期 NHKホール
幅広く堅実な人気を誇るブラームスの交響曲。4曲それぞれに個性があり、魅力があるが、もし仮に人気の順位を付けるとすると、まずは1番派と4番派に分かれ、頭一つ1番がリード。その後ろを2番が追いかけるレース展開になる。鉄板でしょう。
どうあがいても最下位に沈んでしまうのが3番(笑)。地味でシブいもんなー。時間も短いし。
「4曲の中で3番が一番好き」という人は、よほどの変わり者かあまのじゃくかどちらかに違いない。(3番ファンの方、どうか軽~く受け流してくださいませ。)
ということで、ブラームスの交響曲全曲コンサートでは、3番は常に分が悪い。1番との組み合わせによるプログラムなら1番、2番となら2番、4番となら4番の方が、どうしても良い演奏に聞こえてしまうのである。理由は簡単。シロウト愛好家は好きな曲を贔屓しながら聴くから。まあ本当は比較して聴く必要もないんだけどな。
ところがこの常識(?)を見事にひっくり返した指揮者がN響に登場した。
ハイそうです。我らがブロムシュテット大先生です。
3番、非常に素晴らしかったのだ。
具体的に何が素晴らしかったのかを説明するのはちょっとむずかしいのだが、なんだかとても「交響曲らしかった」のである。異なる4つの楽章を一つ一つ丁寧に構築しながら、全体としては楽章間を上手につなげて大きな流れを作り、確固たる信念を示しながら突き進んだのだ。実に堂々たる交響曲だった。目からウロコだった。
いったい誰だ、この曲が地味でシブいだの、最下位だのとか言ってるヤツは?
あ、オレか・・。
N響が渾身の演奏で巨匠の要求にしっかりと応えた。集中力がみなぎっていて、100%の力で指揮者に食らいついていこうとする前がかりの演奏だった。