ロッシーニ・オペラ・フェスティバルで、私はついにロッシーニに開眼した。覚醒した。このところ、家で聴いているCDはロッシーニばかりだ。オリー伯爵、セミラーミデ、そして発表された来年のフェスティバルの演目であるギヨーム・テル(ウィリアム・テル)、アルジェのイタリア女、湖上の女、などなど。
それにしても、このようにハマっている自分が、にわかに信じられない。なぜなら、以前はロッシーニが苦手だったのだから・・・。
オペラが好きになり、徐々に自分のレパートリーを増やしていく過程で、当然ロッシーニもかじった。入っていったのは、いわゆる定番と言われるセヴィリアの理髪師、チェネレントラ、アルジェのイタリア女など。だが、当時、ちっともいいと思わなかった。
まず、音楽以前の問題で、ストーリーがバカバカしくて気に食わなかった。それから、ロッシーニ特有の楽天的な旋律や単純なオーケストレーションなどが、「非常にぬるい」と感じた。「舐めんじゃねえよ」って感じだった。
そして極めつけがウィリアム・テル。
ただでさえ長いオペラなのに、上記のとおりロッシーニの音楽を「ぬるい」とみなしていたので、とにかく冗長、退屈と感じた。
そんな思いに駆られた。
視聴は一回きり。ここで私は「ロッシーニはつまらない」という烙印を押してしまった。関心の対象外。せっかく購入したLDはすぐに人に譲った。以後、ヨーロッパなどの旅行計画で、どこかの劇場でこの演目が上演されるのを見つけても、完全スルーだった。
上記の同じ映像を今度はDVDで再購入して見てみると、その美しい音楽と鮮やかな演奏に心を踊らせている自分に気づく。いやはや何とも感慨深い。人間って成長するんだね(笑)。
ようやく気づいたが、ギヨーム・テルは名曲だ。(今さらでゴメン) なかなか上演されないのは、もちろん作品自体が長いということもあるが、やはりこれをしっかり歌える歌手を揃えるのが大変なのだろう。
だが、実はその前に、もう一つ、この演目を上演する予定の劇場を見つけた。上記のとおり、以前はスルーだったが、今となっては無視できない。8月のペーザロまで待てばいいのに、待ちきれず、行きたい衝動に駆られている。
アムステルダムのネザーランド・オペラ。
時期は来年1月から2月。
今、その時期の仕事の状況を見計らいながら、慎重に慎重に旅行計画を策定中・・。