クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ペーザロへの道

 昨年に出かけてすっかりハマッてしまったロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)に、今年もまた参戦することにした。聞くところによると、クラシックソムリエを自称するフリーアナウンサーのA氏をはじめ、毎年詣でる人も少なくないとか。判るような気がする。楽しいもんなあ。
 
 今年のフェスティバルのメインオペラは「ギョーム・テル」「アルジェのイタリア女」「なりゆき泥棒」の3作品。これに、最終日にコンサート形式で上演される「湖上の女」、毎年恒例のアカデミー学生による「ランスへの旅」が加わる。後はリサイタル・コンサートなど。
 
 私が鑑賞するのは上記のメインオペラ3つと、リサイタル・コンサートが2つ。
 
 注目はギョーム・テルでしょうねえ、やっぱり。難役といわれるアルノール役をフローレスが歌うのが話題になっている。オペラは基本的に客席数が少ないロッシーニ劇場で行われるのだが、フローレスが登場する注目オペラだけはキャパシティが大きいアドリアティック・アリーナで行われる。スポーツやイベントなど多目的用のアリーナだが、上演と客席のスペースは狭めており、このため音響は思ったほど悪くない。
 演出は、新国立劇場でモダンなナブッコを制作したG・ヴィック。どちらかと言うと手堅い舞台を作る演出家だったが、最近は読替えを積極的に行なっている。それが諸刃の剣となり、一部の批評では失笑を買っているのが心配。今回はどうなのだろう。頼むからフローレスの邪魔だけはしないでください。
 
アルジェのイタリア女は、昨年「バビロニアのチーロ」演出で一躍名を轟かせたD・リヴェルモアが、今年もあっと言わせる舞台を創るかどうか見もの。なりゆき泥棒はポネル制作のリバイバルなので、オーソドックスなものであろう。
 
 リサイタル・コンサートは、セルソ・アルベロ(T)とマリーナ・レベッカ(S)。レベッカの公演は、「ヴェルディへのオマージュ」と題されているので、生誕200年を記念し、ロッシーニ音楽祭でありながらヴェルディのオペラアリア集になるものと思われる。
 
 音楽祭もさることながら、今年もまた、賑わうビーチを横目にお散歩し、ベンチに佇み、カフェでくつろぎ、ビールを飲み、お昼寝するという、心をリフレッシュさせながらのんびりと過ごすのが何よりも楽しみだ。たぶん、これで寿命が一年延びると思う(笑)。
 観光に関しては、昨年行こうと思って行けなかったサンマリノには今年こそ行くつもり。それ以外はおそらく昨年と同じ行動になるだろう。
 
 実はペーザロ滞在の後、帰国前にちょっくらザルツブルクに立ち寄って、マイスタージンガーを観ることになっている。なんでも、ザルツでマイスターが上演されるのは、トスカニーニ以来、約60年ぶりなのだとか。バイロイトで話題を呼んだガッティとヘアハイムのコンビ。こちらも楽しみである。
 
 今年は友人Oくんが、3年ぶりバイロイト以来で優雅なバカンスの輪に加わる。彼とはご無沙汰だったので、ゆっくり近況を語り合いたいと思っている。
 
 出発は17日。帰国は26日。久々の長期休暇。
 今年4月に配属異動があり、なかなか長期の休みが取りづらい状況になってしまったが、私自身はこの旅行に関しては断念するつもりは更々なくて、異動してすぐに所属長に「実は・・・8月に・・・夏休みで・・・」と恐る恐る願い出た。返事はもちろんOKだった。普段の日と違って、夏休みに関しては理解が得られやすい。
 ところが、案の定というか、この休暇中にやらなければならない仕事が舞い込んできやがった。仕方なく、「申し訳ないけど、これ、やっておいて」と部下に無理やり押し付けた。
 すまんのう。こんな上司を持ったキミはホント不運としか言いようがないね(笑)。