クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2013/3/3 N響

2013年3月3日  NHK交響楽団 オーチャード定期   オーチャードホール
指揮  飯森範親
シュテファン・ドール(ホルン)
ウェーバー  歌劇オイリアンテ序曲
R・シュトラウス  ホルン協奏曲第2番
チャイコフスキー  交響曲第5番


 一にも二にも、ベルリン・フィルの首席ホルン奏者シュテファン・ドールがお目当ての公演。

 日本のクラシックコンサート業界は、外来招聘なしには成り立たないほど外国人演奏家に頼りまくっているのが現状だが、もちろん日本にだって優秀な奏者は数多くいる。決して「日本人は外国人に劣る」なんてことはない。ヴァイオリンやピアノなどでは、世界で活躍する優秀な日本人演奏家を何人も挙げることが出来るだろう。

 しかし、例外がある。こう言っちゃ申し訳ないけど、「完全に負け」、「コールド負け」、「段違い」といった実力の差をまざまざと見せつけられてしまう楽器がある。それがホルンてわけ。(私の勝手な思い込みです。日本のホルン奏者さん、ごめんなさーい。)

 世界の超一流オーケストラの演奏を聞いても、ホルンパートが「プオー!」と鳴り響いた瞬間、「うわっ!ホルンうめえ!」と腰を抜かしてしまうことがしばしばある。そう思ったこと、皆さんもあるでしょう?

とにかく根本的な音色からして違うんだ。
どうしてだろう? いったい何が違うのだろう? 特別なもん食っているのか?
ヨーロッパではアルペンホルンを吹く風習があるからか?
そんなことはないわな。日本だって法螺貝吹いていたしな。(ぜんぜん関係ねえか・・・)

 そういうわけで、私は世界的なホルン奏者のコンチェルトをプログラムに見つけると、行きたい衝動に駆られてしまう。これまでペーター・ダム、ヘルマン・バウマン、ラドヴァン・ヴラトコヴィチ、ラデク・バボラークなどの超弩級の演奏を聞いてきた。

 そう言えば、記憶に新しい二年前の読響公演で、バボちゃんがソロを務めたコンチェルトが、この日と同じシュトラウスの2番だった。ベルリン・フィルの栄光の主席を担ったバボラークと、彼から看板を引き継いだドール。時期が違うとはいえ、面白い対決だ。

 そのドールのコンチェルト。
 もちろん上手い。だが、華麗にソリスティックに吹き鳴らすかと思いきや、柔らかくまろやかな音色で音楽全体を包み込むかのような演奏だった。テクニックのひけらかしではなく、シュトラウスの音楽から決してはみ出ないように丁寧に収めつつ、ちゃんとソロが浮かび上がる味わいのある演奏。これは指揮者からすると、音楽を作りやすく、本当にありがたいソロであろう。そこらへん、やはり彼がオーケストラプレーヤーだからであろうか。

 かと思ったら、アンコール、メシアンのソロの小品(曲名は知りません)は、今度は一転してホルンという楽器が持つあらゆる音色とあらゆる奏法を駆使した超テクニカルな演奏。「どうだ、参ったか」と大見得を切ると、会場は大いに沸いた。
 まったくこういう人がオケにいるんだもんなあ。ベルリン・フィル、うまいわけだよ。


メインのチャイ5についても触れておこ、いちおう。
悪くなかったっすよ。

あ、いや、こういう上から目線のコメントはやっぱ良くないな。ゴメン、言い直す。
良かったです(笑)。
飯森さん、ものすごく気合が入っていた。渾身の演奏。真っ向勝負で、持てる力を全て出したという感じ。

やっぱりN響の指揮台に立つというのは、日本人指揮者にとってチャレンジングなんだろうなあ。