指揮 レナード・スラトキン
リャードフ 8つのロシアの民謡
秋のタコ祭り第2弾。
その前にリャードフの小組曲。リャードフという作曲家はお世辞にも有名とは言い難いが、私の知る限り、こういう小品で、しかものどかな民謡風が多い。
それで良い。こういう民謡風の音楽は小品で十分。飾らず、素朴でひそやかなのが心を打つ。リャードフはちゃんとわきまえている。これをわざわざ仰々しく大きくすると、厚化粧っぽくなってダサくなる。(いえいえ、別にボヘミア出身の某作曲家のことを言っているわけではありません。一般論ですってば(笑)。)
メインのショスタコーヴィチ。
まずはなかなか演奏されないこの曲を採り上げてくれたことに感謝。
肝心の演奏については、概括的にみれば良い出来だったかもしれない。盛り上がったし、演奏後の拍手も大きかった。
だが、タコにうるさい私は騙されない。盛り上がったのは、それは曲が素晴らしいからだ。曲が壮大なクライマックスを形成して終わるので、盛り上がるようにできているのだ。
演奏の水準は、並。「またいつものN響が出たな」という感じだ。総じてぬるい。角が丸い。全力ではなく、80%の力で無難にまとめられてしまう。
作曲家のメッセージ、戦争の足音、スターリンの幻影、恐怖の戦慄、自由を欲する人間の叫び・・・私には何一つ聞こえなかった。そりゃそうだろう。演奏者自身がそれを感じていないのだから。伝わるわけがない。これらはスコアにしっかり内在しているに・・・。いずれにしても残念至極である。