指揮 エリアフ・インバル
小森輝彦(バリトン)
正直、行こうかどうしようか迷った公演。
演奏の出来を疑ったわけではない。インバルのマーラーが素晴らしいことはよーく知っている。これまでに素晴らしい演奏を何度も体験しているから。
「よーく知っている」「何度も体験している」・・・そう、迷ったというのは、そういうことだった。
要するに、インバルのマーラーは『またかよ』なのだ。プログラム的には新鮮さ、目新しさ、画期的さがまったくないのである。
でもね。結局行っちゃうんだな、これが。だって素晴らしいんだもん。しょーがないじゃん。
この日もやっぱり素晴らしかった。文句なしなのだ。インバルの快進撃は留まることを知らない。これまでに何十回も演奏しているはずなのに、マンネリ感はゼロ。むしろ進化を遂げていて、毎回のように新しい発見を与えてくれる。
クライマックスは疾風怒濤。圧倒的な高揚で、聞いている人をノックアウトさせ、しまいには昇天させてしまう。オレ、今までに何度インバルに横っ面を張り倒されたかなあ・・・。
それにしてもすげえなあ、インバル。もう76だってよ。だというのに、ギラギラ感は一向に衰えず、ますます盛ん。そのエネルギーはどこからやってくるのか?飽くなき探究心の源は何なのか?
えーと、次は第2番‘復活’か・・・。これも行こうかどうしようか迷ったんだよな。で、迷っているうちにチケットは売り切れた。あっという間だった。「ま、いっか・・」と諦めていたが、やっぱり諦めきれなかった。結局買ってしまった。ネットオークションに手を染めてな。
だって素晴らしいんだもん。しょーがないじゃん・・・。