クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2012/5/4 フィレンツェ

 ルネッサンス芸術が花開いた街、フィレンツェ。美術史においてだけでなく、絵画芸術を愛する私にとっても、ここはまさに「原点」と言っていい街だ。
 「今日はパリ、明日はベルリン、明後日はミラノ・・」などと連日連夜オペラ・コンサートを追っかけ回すことが「異常」ではなくて「普通」になっている近年だが、公演の予定を入れず、あくまでも観光がメインで旅行をしていた時期が実はあった。もうずいぶんと前の話だが。
 そんな1995年12月、当初4日間の予定で初訪問したフィレンツェの魅力に完全に取り憑かれ、滞在を3日延ばし、まる一週間隅から隅までこの街を巡り巡ったことが懐かしい。(こういう予定変更は、公演がびっしり計画に入っている今では考えられない(笑)。)
 
 滞在の短い観光客は、ミケランジェロ広場、ドゥオーモ、ヴェッキオ宮殿などを見学し、またウフィツィ美術館やアカデミア美術館を訪れて、ルネッサンスを代表するラファエロミケランジェロボッティチェッリなどに触れて満足し、去っていくというのがパターンだろう。
 
 だが、リピーターの方や、ほんの少しでもルネッサンス芸術に関心がある方は、ルネッサンス芸術の創始者と言われているウッチェロやマザッチオ、修道士兼画家で宗教美術に多大なる貢献をしたフラ・アンジェリコやフィリッポ・リッピなどの作品を是非見逃さないでほしいと思う。私の今回の観光も、これらの画家の絵を追い求めたものである。
 
 まず最初に訪れたのは、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会。ここはフィレンツェ駅の目の前なので、観光の出発点としてはうってつけ。聖堂内にマザッチオの「三位一体」やウッチェロの「騎馬像」のフレスコ画があり、回廊にも旧約聖書ノアの方舟を題材にしたウッチェロのフレスコ画がある。少々残念だったのは、団体客が多くて、落ち着いて鑑賞できなかったこと。
 
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 その次は、サン・ロレンツォ教会。ファザードの設計をミケランジェロが手がけたものの、未完で終わり、結局そのままになっている。この教会内部では、フィリッポ・リッピの祭壇画「受胎告知」をしっかり鑑賞。
 
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 サン・ロレンツォ教会のすぐ近くにあるリッカルディ宮殿。メディチ家ゆかりの宮殿で、礼拝堂に描かれたゴッツォーリのフレスコ画ベツレヘムへ向かう東方三博士の旅」が超有名。
 
 
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 最後に、フィレンツェの中でも、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会付属のブランカッチ礼拝堂と並んで私が大好きな場所、サン・マルコ修道院美術館。修道僧の僧房各部屋に「キリストの変容」や「聖母戴冠」などの絵が描かれていて、扉の外から1つずつ覗き込みながら鑑賞していく形式がとても楽しい。
 
この美術館の知名度を高めているのが、フラ・アンジェリコの作品。特に、階段を登ると目の前に現れるフレスコ画「受胎告知」はため息が出るくらい清楚で、鑑賞する人間はとても敬虔な気持ちになる。私は「この絵の前に立ったまま、30分佇め。」と言われたら、出来る自信があります!1時間だとちょっと自信がないが(笑)。
 
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 本当は、この後さらにサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会にまで行きたかったのだが、残念ながら時間切れ。昼食を取り、ホテルに午後3時に戻った。
 夜のオペラ公演の前に、パリからフィレンツェにやってきたK師匠と待ち合わせをして、昨年12月のスカラ座の時と同様、劇場近くのカフェでオペラ談義に花咲かせた。