クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2012/5/3 ヴェルディ響

2012年5月3日  ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団    ミラノ・アウディトリウム
指揮  クラウス・ペーター・フロール
ブリテン  シンフォニア・ダ・レクイエム
 
 
「ミラノのクラシック音楽はオペラの殿堂スカラ座で決まり。他にいったい何があるっていうんだい?」
と思っている皆さん。ミラノにも‘一応’オーケストラがあるのをご存知ですか?
「んー。まあ、オペラの合間をぬってスカラ・フィルが活動しているよね。」
 はいはい、そのとおりですが、実は他にもあるのです。それがミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団リッカルド・シャイーが創設した(現桂冠指揮者)比較的若いオーケストラで、日本にも来日して公演を行ったことがある。
 
 何を隠そう、私自身もミラノで聴いたのは初めて。公演に臨むにあたって、いくつか興味津々な点があった。
 ミラノには交響曲などのオーケストラ音楽を聞く文化や土壌が根付いているのか。更に、このヴェルディ響はミラノ市民の支持をしっかりと得ているのか。他にも、本拠地の会場はどんな雰囲気なのか、イタリアのオケが演奏するブルックナーってどうなのか、などなど。
 
 会場のアウディトリウムは、ミラノの中心部から3キロくらい南に離れた通り沿いにある。トラムで行くのが便利だが、結構時間がかかった。外観は普通のビルっぽい。ちゃんと案内表示があるのですぐにわかるが、そうでなければ素通りしてしまいそうだ。
 アウディトリウムというのは、日本語に直訳すると「講堂」となり、会場の雰囲気もなんとなくそんな感じ。コンサートホールとして十分使えるが、やはり多目的ホールであることは間違いないだろう。そんな会場なので良い音響を期待するのは無理だが、もっともヨーロッパのコンサートホールは一部の名ホールを除き、概して大したことない。キャパシティは1,400とのこと。
 
イメージ 1
 
 ちなみに上の写真にあるとおり、ステージの左右上方にスクリーンがあって、開演前と休憩中はここでCMや公演予告などが映しだされるというのが、面白かった。各地で色々なホールに行っているが、こういうのは初めて見た。このスクリーンは開演になると、引っ込められる。
 
 
 この日の客の入りは、あまりよくなかった。ガラガラとまでは言わないが、空席が目立つ。6割くらいの入りという感じであろうか。上に書いた興味津々な点で、「やっぱり所詮そんな程度なのか・・」という印象が湧き出る。
 ただし、たった一公演に行っただけで断定するのは禁物というもの。これが、例えばベートーヴェンだったりモーツァルトだったりしたら、また違うかもしれない。
 
 肝心の演奏だが、オーケストラの実力的には、日本のオケとそれほど差はない。いや、ひょっとすると日本のオケの方が上手いかも。そんな程度だ。
 ただし、首席客演指揮者であるクラウス・ペーター・フロールはいい仕事をしたと思う。基礎を固め、バランスを取り、ニュアンスを伝え、セーブするところはセーブし、煽るところは煽る。彼の頭の中には明確に到達ポイントがあって、オーケストラをそこにしっかり導いている。ブルックナーならでは高揚感も十分に伝わった。
「イタリアのオーケストラによるブルックナーってどんな物か?」と期待したが、結果的には「クラウス・ペーター・フロールのブルックナー」だった。でも、それでいいのだと思った。
 
 お客さんも十分に楽しんでいた様子。演奏後、いくつかのブラヴォーも飛んだし、立ち上がって拍手する人もかなりいて、それなりに盛り上がった。