クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2012/1/1 ROHマイスタージンガー

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2012年1月1日  ロイヤル・オペラ・ハウス
演出  グレアム・ヴィック
ヴォルフガング・コッホ(ザックス)、サイモン・オニール(ワルター)、ジョン・トムリンソン(ポークナー)、ピーター・コールマン・ライト(ベックメッサー)、トビー・スペンス(ダーヴィッド)、エンマ・ベル(エヴァ)、ヘザー・シップ(マグダレーネ)    他
 
 
 前日のフランクフルトでは、午前中にホテルにチェックインすることが出来、大変助かった。ロンドンに移動したこの日も、「何となく大丈夫なんじゃないかな」という何の根拠もない淡い期待を持ちながら午前11時にホテルに到着したが、「チェックインは午後2時以降」とぴしゃり断られてしまった。
 ロイヤル・オペラ・ハウスのマイスタージンガーは開演が午後3時。残念ながら、ホテルで休息を取ってから劇場に出掛けることは叶わなかった。そして、後にこの影響をもろに受けることになる・・・。
 
 開演前、劇場支配人が舞台に登場した。良くないニュースの発表がある恒例行事だ。
「本日、ワルターを歌うサイモン・オニールは、風を引いてしまい、喉の調子が悪いが、キャンセルせずに頑張って歌うことになった。どうか皆さん寛大に見守っていただきたい。」
 客席から、「まあ、仕方があるまい」といった何ともビミョーな拍手がパラパラ・・・。喜んでいいのか悲しんでいいのかようわからん。
 
 そのオニールであるが、聞いてみたところ、それほど絶不調という感じではない。そつなく歌っている。エクスキューズが入らなければ、大半の人は体調不良について気が付かないだろう。
 
 さて、以下は第一幕と第二幕を観ての感想である。第三幕は・・・後で述べる。
 
 出演歌手の中で最も良かったのは、ダーヴィッドを歌ったトビー・スペンス。声はやや軽いが、瑞々しく、光沢がある。演技もうまく、結構目立っている。イギリス国内では既に頭角を現し、それなりの名声を確立しているスペンス。いずれイギリスを越えて世界に羽ばたいていくのは間違いないと思う。
 
 あとは、トムリンソン。すっかりベテランの雰囲気だが、重厚な歌声はいささかも衰えていない。
 
 主役ザックスを歌ったコッホは、なかなか良かったと思うが、無難にこなした感がなきにしもあらず。貫禄、存在感はトムリンソンに完全に軍配が上がった。ただ、まだ伸びしろはありそうだ。今後、是非ザックス役を極めてもらいたい。
 
 グレアム・ヴィックの演出は拍子抜けするほどオーソドックス。舞台装置も小ぶりでで、全体的にやや‘チャチな’印象を受ける。だが、登場人物の動かし方は計算し尽くされ、緩慢さがなく演劇的であった。
 
 総合的に一番良かったのは指揮者のパッパーノ。いつもながら、彼の指揮は力感に溢れている。長大なワーグナーを強靭な推進力で引っ張っていく様はまことにあっぱれであった。
 
 
 ・・・という感じで、第二幕までは順調に楽しく観劇していたのであったが・・・。
 
あろうことか、なんとその後、私は猛烈な睡魔に襲われてしまったのである。まぶたが重くなり、あくびが止まらなくなった。旅行も最終日ということで、疲れがドッとやって来たか。この日はホテルで仮眠が取れなかったしなあ・・・。
 
休憩直後にもかかわらず、第三幕は冒頭から完全にグロッキー状態。もう、仕方がない。寝る。おやすみなさい。ザックスのモノローグ、ワルターとザックスの優勝歌の共同作成場面、ベックメッサーの侵入、ザックスとエヴァとのやりとり・・・これらのシーンは全て見逃し聞き逃した。前半部を諦め、後半部の歌合戦の場に備えようという作戦だ。
 
やがて第三幕後半の歌の祭典の場面。いよいよクライマックス。ここでも居眠りしていたら、いったい何のために劇場に来ているのかがわからなくなる。私はほっぺをつねり、首を回して眠気を覚まし、回復を試みた。
 
が・・・。
 
頭の中はボーーーッ。
目は開いている。音楽も聞こえている。かろうじて。でも、全然心に届いていない。ただぼーっと聴いているだけ。
 
4か月ぶりの海外で、ずっと楽しみにしていた数々の公演のいよいよラスト、トリを飾るマイスタージンガーのハイライトが、このザマか・・・。なんてこった!
私は自分を呪いたくなった。
 
本当は「いやー素晴らしかった。終わり良ければ全て良し。素晴らしいワーグナーで聴き納め、今回の旅行も全て完ぺき!本当に楽しかった。パチパチ。」というふうに終わるはずだった・・・。
 
こんな尻すぼみの終わり方があってたまるか、チクショウ。
こんな情けない報告、ブログでとても書けない。
かくなる上は「本当に素晴らしい演奏で、感動の嵐!もう大感激の一夜でしたっ!」と書いて結んでやろう。誰もわかりゃしねえ。オレ様は誇り高く、見栄っ張りで、負けず嫌いなのだ・・・・。へっへー、だ。