クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2011/12/30 ニューイヤープレコンサート

2011年12月30日  ウィーン・フィル ニューイヤー・プレ・コンサート  楽友協会大ホール
指揮  マリス・ヤンソンス
ヨハン・シュトラウス、ヨーゼフ・シュトラウス等のワルツ、ポルカ
鍛冶屋のポルカ、ピツィカートポルカ、雷鳴と電光、チック・タック・ポルカ美しく青きドナウラデツキー行進曲  その他
 
 
「いやああぁー、素ん晴らしいっすねえぇ!!
ウィーン・フィルによる本場の、本物のウィンナ・ワルツ!これを現地で聴くのが私の長年の夢だったのよ!ウィーン・フィルの極上の演奏!思わず体が揺れてしまうような三拍子!黄金に輝く世界最高のホール!これぞまさに究極の愉悦!もう、ホント最高っす!ほっほっほ!」
 
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おい、ちょっと待て。この変わり様はいったい何だ?? あ??
さんざん「所詮はウィンナ・ワルツでしょ?」「どうしても聴きたいコンサートではない」「興味なし」なんてほざいていたのはどこのどいつだ?人をおちょくっているのか?
なーにが「クラシック音楽・オペラを極める!!」だ!
結局、こいつは単なるミーハー野郎か、あるいはムカつく自慢小僧だ!(怒)
 
・・・とまあ、あちこちから非難轟々が聞こえてきそうな、つまらん感想である。
何を隠そう、あっしも自らの豹変ぶりとミーハーな喜びようにびっくりしておる。
 
 やっぱりですね、絶望的でほとんど諦めかけていたコンサートの鑑賞が、幸運の女神の降臨によって思いがけず聴けてしまったということで、要するに完全に舞い上がってしまったわけですな。そりゃアナタ、仕方がないでしょう。アナタだって同じ状況になったら、きっとこうなると思いますよ。ということで、どうかお許し願いたい。
 
 譲ってもらった席は、まさに舞台上であった。ウィーン・フィルの奏者が居並ぶステージの左右の奥に、即席の椅子が設けられていて、そこで鑑賞する。私の席は客席から見ると右奥。前方は弦楽器群、右手側にはホルンやフルートがすぐ近く。そこから写したのが下の写真。
 
イメージ 1
 
 
 
 さて、ここの席までどうやって辿り着くとお思いか?
 これが非常にびっくりしたのだが、オーケストラプレーヤーが楽屋からステージに入場する通用ドアから入るのである。つまり、いったんステージ裏に入って、いわばオケ奏者と一緒に入場するようなものなのだ。やろうと思えば楽員に声をかけたり、触れ合うことだって可能。
 
 ムジークフェラインのステージ裏を初めて覗いたが、演奏中に故障した際にさっと取り替えられるように、チェロ、ヴァイオリンの予備の楽器が並べられてあった。なんかウィーン・フィルの舞台裏、普段見られない秘密を垣間見たみたいで、結構感激した。
 
 聞こえてくる音のバランスははっきり言って良くない。まあそりゃそうだろう。だから安い席なのだ。
ただし、もし反対側(客席から見て左奥)だったら、もっと大変なことになっていただろう。ティンパニーなどの打楽器群のすぐ近くなのだから。彼らがドカチャーンと叩いたら、はっきり言って他の楽器の音は何も聞こえないと思う。
ここからは指揮者の表情や、コンマスの演奏している姿を正面から拝められる。多少のバランスの悪さなど取るに足らない事だ。
 
ところで、上のような写真を撮っちゃいかんだろうって??
そりゃ、いいか悪いかと言ったら、良くないに決まっている。だが写真に関して言えば、もう完全に無法状態である。聴衆は単なる世界的イベントの参加者。休憩中のホール内は記念撮影大会と化している。係員も、制止など不可能だと諦めているからまったくお咎めなし。そういうわけで、私も「みんながやっているので怖くない」と、何枚か撮った。一応ノーフラッシュで。
 
イメージ 2
 
イメージ 3
 
 
 

 

上の写真をご覧になってお気づきの方もいるかもしれないが、お正月のニューイヤーコンサートは、ムジークフェラインホールの特にステージやパイプオルガンをたくさんの花を飾って新年らしく華やかに彩るが、このプレコンサートではそういうデコレーションはされていなかった。
 
 
上演前に、一つ気になっていたことがあった。
名物となっているニューイヤーコンサート恒例のアンコール。
美しく青きドナウ」の前奏がそっと奏でられると、会場からそこで拍手が沸き起こり、指揮者はいったん音楽を止める。指揮者が客席側に振り向き、合図によって楽員が一斉に「プロージット・ノイ・ヤール!(新年おめでとう!)」と掛け声。
 
これよ、これ。
「これって、プレコンサートでもやるの??」
 
だって、まだ新年ではないでしょう?あれはあくまでも1月1日のニューイヤーコンサート本番のみのアトラクションなのではないのか??
 
ついでに聴衆の手拍子で盛り上がるラデツキー行進曲。これも、プレコンサートでも果たして演奏されるのであろうか??
 
答えは、「すべて本番と同様に行われた。」
そう、12月30日だというのに「新年おめでとう!」という掛け声をかけたのである。へえーー、驚いた。
 
要するに録音とかの問題なのだと思う。
ニューイヤーコンサートは録音したものをCDやDVDで売り出す。収録に事故のないように、アンコールも含めて全て同じに演奏して、万全の録音に備えるということだろう。
 
毎年、世界的な指揮者が登場するニューイヤーコンサート。今年のヤンソンスの出来は果たしてどうだったのか。
ヤンソンスの音楽作りがどうのこうのなんて、どうでもいいし、そんなことを語る必要もない。」というのが結論。
指揮者なんて、誰だっていいのだ。指揮者はただ黙って、ウィーン・フィルの演奏に合わせて気持ちよさそうに棒を振っていればいいのだ。
これこそがウィーン・フィルニューイヤーコンサート。それでいいのだ。