オーストリア航空搭乗券による半額割引情報を教えてくれたレイネさんも訪れたようだし、ならば私も行かなくては!(笑)。
ここレオポルト美術館はクリムトやココシュカ、シーレなどのウィーン世紀末画家を多く所蔵していて、特にシーレ・コレクションが充実している。ちょうど今回、同美術館の開館10周年記念として「エゴン・シーレ・プロジェクト」なる企画展が開催されていた。シーレの作品とともに、彼の作品に影響を受けた現代美術作品を同時展示していた。
私にとって、エゴン・シーレは、つい惹かれてしまう画家である。
若くして逝った天才。まるで利き手の逆の手で描いているかのような硬くてぎこちないタッチ。描かれた人物の肉体は、柔らかさや優美さが削ぎ落とされ、性器が露出し、どこか醜さ、残酷さが漂う。そして怯えたような表情。生に対する苦悩と絶望感・・・。
彼の絵はなぜ故こんなにも物悲しいのか。(この謎を突き止めたくて、私はシーレの生誕地トゥルンまで足を運んだことがある。)
シーレの絵を鑑賞するということは、すなわち、素っ裸の自分を見つめ直すことである。年と共に自覚せざるを得なくなる体力的な衰え。体の均衡も崩れ、健康状況も万全とはいかなくなってくる。思わず気を紛らわしたくなるが、シーレは「これが本質だ。目を背けるな。直視せよ。」と訴えかけてくる。この声を聞きたくて、私は彼の絵の前に立つのだ。
企画展は特段面白いものではなかったが、上記のとおり彼の声、訴えを体感することが出来たので、満足して美術館を後にした。
午後4時半にホテルに戻り、夜のオペラに備えて休息。