クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ナタリー・デセイが引退?

 「音楽の友」誌最新12月号に、気になる記事が目に止まった。
 ウィーン在住山崎睦氏からのレポートで、これによると、ウィーン国立歌劇場ヴェルディ椿姫プレミエにあたって、主演を務めるナタリー・デセイが「歌手廃業」とも取れる発言をしたとのことである。「自分が歌うことができるレパートリーがますます狭まり、新たな方向にも限界があって、オペラ界に対して八方塞がりの感が強い。このため、舞台女優への転向を考えていて、2014年以降のオペラの予定を入れていない。」というのだ。
 
 山崎氏はこれを「プレミエ直前のこのような発言は敵前逃亡であり、予防線を張っているようなもの」と批判。この発言が災いしてか、プレミエの熱気は冷めてしまったと報告している。(以上、誌面から拝借しました。)
 
 ウィーンの椿姫のプレミエがどうこうという問題より、「人気実力で世界のトップ級であるデセイがオペラから引退か!?」というニュースがメガトン級の衝撃だ。本当なのですか??デセイさん。たまたま不調に陥って山崎さんの言うような「本番前の単なる予防線」を張っただけならいいのだが・・・。
 
 しかも舞台女優って・・・。
 確かにデセイの舞台を見ると、「この人、女優だよなあ」と強く感じる。歌もさることながら、迫真の演技に彼女に釘付けにされることしばしである。
 
 でもさあ、デセイさんよ。
 あなたが舞台の上で光り輝いているのは、あくまでも「オペラ」という芸術の範囲内で、なのである。「歌って、なおかつ演じられる」から高い評価を得ているのであり、歌なしでセリフと演技だけで勝負する女優にそう簡単に転向できるかというと、そんな甘いもんじゃないんじゃないかなあ・・・。
 それにさ、新たな方向に限界があるっていうけど、その限界を突き破ることこそ、真の芸術家の進む道じゃないですか?人間の声は年齢や体の状態(出産などもそう)とともに変化するわけで、歴史上あまたの偉大な歌手たちがこれを経験し、これを克服し、さらなる進化を遂げているわけで。
 
 
 なんて偉そうな意見を言っちゃったけど、要するにアナタ様の舞台姿をもっともっと拝みたいわけなのですよ。そういうファンは多いですよ。だから、引退なんて言わないでもう少し頑張ってくださいな。数年前、発声障害によって歌手人生の危機が襲ってきた時も、見事に乗り越えたではないですか。
 
 デセイは、来年来日が予定されている。ゲルギエフ指揮マリインスキー管弦楽団ソリストとして。プログラムは未定で、歌曲をやるのかコンサート形式上演をやるのかはわからないが、これが果たして見納めになってしまうのだろうか??今後の彼女の動向が非常に気になる。