クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/9/30 バイエルン州立管

2011年9月30日  バイエルン州管弦楽団(都民劇場シリーズ)  東京文化会館
合唱  バイエルン州立歌劇場合唱団
アンナ・ヴィロフランスキー(ソプラノ)、オッカ・フォン・デア・ダメラウ(メゾソプラノ)、ロバート・ディーン・スミス(テノール)、スティーヴン・ヒュームズ(バス)
ブルックナー   交響曲第9番、テ・デウム
 
 
 ケント・ナガノはとてもいい指揮者だと思う。日本にはベルリン・ドイツ交響楽団との度重なる来日公演で素晴らしい演奏を聞かせてきたし、前回来日のモントリオール交響楽団との公演では鮮烈なアルプス交響曲を披露した。ドイツ・ミュンヘンで聴いたバイエルン州立歌劇場でのオペラでも印象深い公演がある。
 
 彼のタクトを見ていると、アメリカ人とはいえ、日本人の系統をつくづく感じる。腕の振りが早く、鋭いのだ。佇まいは静かだが、一瞬の切れ味は閃光のごとし。どことなく居合抜きの達人を想起させる。武士の格好をさせたら、結構さまになると思う。つまり、‘サムライ’の匂いがするのである。
 
 この日のブルックナーも、まさにそのような演奏だったと思う。つまり、多彩な色合いを散りばめるのではなく、単色の鉛筆一本だけで構築するデッサン画のような造形美。タッチは強く、硬く、厳しい。そこが、ブルックナーの無骨な音楽にうまくマッチしていた。
 
 残響面においてやや劣る東京文化会館では、ブルックナー演奏において生々しさがストレートに出てしまうため、指揮者が音楽のバランスに手こずることを見かけることがある。インバルがそうだった。だが、ナガノは上記のアプローチによって見事な解決策を見出した。さすがであった。