クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/9/16 N響

2011年9月16日 NHK交響楽団定期演奏会   NHKホール
レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)
ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番
 
 
 なんと、完売の公演であった。平日だというのに。二日目の土曜マチネーならともかく、金曜日の夜、NHKホールで完売というのはビックリした。
名手レイフ・オヴェ・アンスネスを聴きに来た人も中にはいたかもしれないが、殆どの人はブロムシュテット目当てだろう。なんたってクラシックファンはおじいちゃんが大好きだからね。「高齢で今後聴くチャンスが減っていくだろうから、今のうちに聴いておかなくては」という心理が一部働くからだと思うが、スクロヴァさんと同様、ブロムシュテットは元気元気!指揮をしている姿は昔と全然変わらない。聴くチャンスが減っていく気配無し。一緒に聴いたKさんも言っていたが、菜食主義が長生きの秘訣なのだろうか?(笑)
 
 私がこの公演に行こうと思ったのは、別に翁を拝んで手を合わせたかったからではなく、純粋にプログラムが気に入ったから。レイフ・オヴェ・アンスネスラフマニノフは定評がある。また、なんとなくブルックナーがレパートリーの中心になっているブロムシュテットが、珍しくチャイコをやるというのもそそられた。
 
 アンスネスのコンチェルトは良かった。この人、見た感じ淡々と弾いているのだが、曲に色々な表情を付けることが出来る。音色に変化をつけることが出来る。演奏に余裕があるので、オーケストラに対しても神経を配ることが出来、ソロと伴奏が一体となった音楽が構築される。その結果、ソリストの妙技を味わうというより、「曲」そのものを深く味わうことが出来る。何度かこのブログで書いているが、演奏を聴いて、その演奏者よりも「曲」の良さを再発見することが出来、「作曲家」に思いを馳せることが出来る、そういう演奏者を私は最大に讃える。
 
 メインのチャイコフスキーは、とても真面目だった。きっちりとしていかにもブロムシュテットらしかった。ためも少ないし、テンポも揺れない。
 おそらく指揮者がリハーサルで厳格に指示して音楽を作っていったと推測するが、その厳格さがかえって型にはめてしまった感があった。枠を飛び越えてほとばしる熱気が少し欲しかった。チャイコのスコアにはそれがあるはずなんだけどな。