指揮 ウラディミール・フェドセーエフ
三浦文彰(ヴァイオリン)
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
チャイコのVn協は正直、がっかりだった。
ソリストというより、オケに対してである。
やる気が感じられない。ロシアらしい、あるいはチャイコフスキーらしい音色がまったく感じられない。
なんなんだこれは、と思った。
指揮者のフェドさんがその責任を負わなければならないが、一部、ソリストにもある。
私自身は三浦くんの演奏を決して「悪い」とは思わなかった。技術はしっかりしているし、彼なりのチャイコンを表現していたと思う。
ただ、ロシアのオケをバックにしてチャイコを演奏する気概、気迫が少々欠けていたような気がする。
多分、それが一瞬にしてオケに伝播したんじゃないかと思う。実力を見透かされ、甘く見られたような感じなのだ。
まるで、数日前に行われたサッカーの親善試合日本対ブラジル戦、前半早々に勝敗の行方が決した後の後半、ブラジル代表のシフトが極端にぬるくなった、あの感じに類似している。
でも、これは試合じゃないんだぜ。コンチェルトだ。共演なのだ。やっぱりチャイコフスキーオーケストラ側に問題がある。プロとしての資質の問題だ。
それが証拠に、後半のラフマニノフは格段に改善された。ちゃんとロシアらしい音色になっていたのは、皮肉としか言いようがなかった。
アンコールでは、このオーケストラならではの伝統芸が見られた。打楽器(今回の場合、特にタンバリンとカスタネット)を前面に押し出した、ノリノリのエキゾチックな演奏。最高だった。
このオーケストラ、毎回アンコールでこれをやってくれる。実はアンコールが一番楽しみだったりする。今回も見事にそれに応えてくれた。
終わりよければ全て良し、ってか!? いーや、最初からちゃんとやってくれよな、ホント。頼むで。