2023年1月21日 NHK交響楽団 C定期演奏会 NHKホール
指揮 トゥガン・ソヒエフ
ラフマニノフ 交響詩 岩
チャイコフスキー 交響曲第1番
こうしてソヒエフが3年ぶりに来日し、彼が指揮する公演に足を運ぶことが出来て、本当に嬉しい。
この間、コロナがあり、そしてロシアが仕掛けた戦争があり、情勢は非常に厳しかった。今でもスポーツ界ではロシア選手を締め出している状況が一部見受けられるし、全般的な雪解けの兆しは見えない。
だが、クラシック界においては、個人に対する受入れは徐々に緩和の傾向だ。
こうしてA・ネトレプコ、D・トリフォノフ、Y・アヴデーエワ、V・フェドセーエフらが日本にやって来る。ソヒエフもその中の一人というわけである。
さて、今回であるが、プログラムがやや地味だし、そもそもC定期は休憩なしの1時間ちょいなので、物足りなさが残るかと思いきや、いやいやとんでもない、超絶品の名演であった。
音楽作りがとにかく精妙。楽曲全体の見通しが完璧なくらいに冴えている。
おそらく、ソヒエフは耳が抜群に良いんだと思う。だから細部にわたってバランスの良い響きを構築出来るのだ。
N響の反応力、瞬発力も、もうピッカピカ。
彼らは分かっている。指揮者が超が付くくらい有能であることを。だから、全神経を張り巡らせて、タクトに食らいついている。名演はもはや必然なりということ。
N響は、強力なパートナーシップで結ばれた指揮者を毎年定期的に招聘している。
10月はブロムシュテット。そして、1月はソヒエフ。発表された2023-24シーズンにも、きちんと両名の名前が掲載されている。ソヒエフは、N響にとって、それだけ重要な指揮者だということ。それは、この日の演奏を聴いただけで、チャイコ1番のたった45分の演奏を聴いただけで、十分に認識することが出来る。