クラシック、オペラの粋を極める!

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「あの時、君は若かった」歌手編その2

続き。
 
4 アンゲリカ・キルヒシュラーガーとペトラ・マリア・シュニッツァー
 キルヒシュラーガーについては皆さんご存知でしょう。ウィーン国立歌劇場になくてはならない同国出身の名花。彼女も本当は3月に来日する予定だったが、震災原発事故で公演が中止になった。
 
 ペトラ・マリア・シュニッツァーは果たしてどうだろう?ある程度のオペラファンなら知っていると思うが、人気歌手ですかね??よく分からない。ペーター・ザイフェルトの奥様。従って、ザイフェルトとの夫婦共演多し。ジークリンデとジークムントとか、タンホイザーエリザベートとか、トリスタンとイゾルデとか、ワルターエヴァとか・・・。ハッキリ言ってザイフェルトのおかげで得をしているね(笑)。まあ、でもいいコンビだとは思うが。
 
 ご両人を並べて取り上げたのは、15年前にご両人同時出演の上演を観たから。もちろん、二人ともチョイ役ですよ。
 
 1996年、ウィーン国立歌劇場。R・シュトラウス作曲ナクソス島のアリアドネキルヒシュラーガーが「木の精」、シュニッツァーが「エコー」でした。チョイ役でしょ~!?
 
 そういう昔のチョイ役なんかは大抵は覚えていなくて、何年も後になってプログラムを見返して「へえ!?あの時出ていたんだ!?」と驚くパターンなのだが、この公演のこのお二人についてはハッキリ覚えている。もちろん、当時はキルヒシュラーガーもシュニッツァーも歌手として当然知らなかった。にもかかわらず、だ。
 なぜハッキリ覚えているかというと、めっっちゃくちゃきれいな出演者だったのだ(笑)。思わずオペラグラスを覗きこんで、「うわっ、この人たち美人やのう・・・」と驚き、息を飲み、ため息をついてしまった。二人とも今でも十分に美人だが、さらに15年前の若さだもんなー。
 
 肝心の歌はどうだったかって??
 まあその、まぶたには焼き付いたが耳には焼き付きませんでした(笑)。
 ちなみに、この公演の指揮は火星人ホルスト・シュタイン、ツェルビネッタはもちろんあの方でございます。ウィーンのツェルビネッタと言えば、あの人しかいません。名前を出すまでもございません。
 
 
 2003年、新国立劇場に出演するため来日し、ホフマン物語のニクラウスを歌ったのは、今や新国立劇場の歴史に残る伝説と言っていいだろう。ご覧になりましたか??観た方は、さあさどうぞ遠慮なく自慢してください(笑)。若く、スラリとしたブロンド美人で、なおかつ堂々たる演技と歌唱で当時はオペラマニアの間でかなり話題になった。あっという間に世界的なスター歌手になってしまい、もう新国立劇場レベルではすっかり手が届かない存在になってしまった。
 
 翌年、ウィーン国立歌劇場で、私は再び彼女を観た。ヴェルディ作曲ファルスタッフ。役は「メグ」。
そして更に2年後の2006年。敬愛するマエストロ・ムーティが久々にウィーン国立歌劇場に登場するというので、色めきだった私は居ても立ってもいられず、現地に馳せ参じた。演目はフィガロの結婚。ここにもガランチャが出演していた。
チョイ役と言えばチョイ役、重要な役といえば重要な役。なんとも微妙ではあるが、「ケルビーノ」であった。
このガランチャ演じるケルビーノ、いやホント最高でした。歌ももちろん良かったが、初々しい少年を見事に演じていた。スザンナと伯爵夫人に女装させられるため、お着替えのシーンがあったのだが、これがもうやばかった!!。後ろを向いてなんと肩をあらわにし、「見ちゃダメよ」みたいな視線で客席に振り向いたんですよ!どんなサロメの7つのヴェールの踊りよりも興奮しました(笑)。
 
当時、マエストロ・ムーティは大胆に若手キャストを起用し、新鮮なフィガロを創りだすことに成功していたが、もし今、同じメンバーを揃えるとなると、相当大変なことになる。スザンナはダムラウ、伯爵夫人がアニヤ・ハルテロス、フィガロダルカンジェロ、伯爵がアドリアン・エレド、そしてケルビーノがガランチャと、錚々たるメンツだったのである。
 
そんなガランチャさん、最近のホットな話題で、おめでただそうで。
ということで、9月のメトも12月のスカラ座も大晦日のカウフマンとのスーパースター・ガラ・コンサートも降りてしまいました。オペラ界にとっては、衝撃的なニュースでしたね。
 
以上、おしまい。