クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/2/8 シカゴ響1

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2011年2月8日  シカゴ交響楽団  シカゴ・オーケストラホール
指揮 レナード・スラトキン(メインのみ)
内田光子(ピアノ兼指揮)
モーツァルト  ディヴェルティメント変ロ長調
モーツァルト  ピアノ協奏曲第11番
ショスタコーヴィチ  交響曲第5番 革命
 
 
 もしこれが日本だったら、世界的カリスマ指揮者であるムーティが降板となって突然指揮者がスラトキンに変更になったら、がっかりファンの決して少なくない人数が会場に足を運ぶのをやめてしまうと思う。当日のコンサート会場ではあちこちで空席を見つけることになるだろう。つい先日、大野和士がドタキャンした東フィルがまさにそうだった。
 
 果たしてシカゴの聴衆はどうだろうか?
 
 私はなんとなく「それほど影響が出ないのではないか?」と予想した。シカゴ響のお客さんはほとんどが定期会員であると聞く。しかも継続会員が大半らしい。そういう人たちは定期会員であることそのものに意義を見いだしているわけで、指揮者が誰であろうとどんなプログラムであろうとコンサートに足を運ぶ。極論すれば、ぶっちゃけムーティじゃなくてもいいわけだ。もちろん彼が音楽監督に就任したことで、新たに定期会員になった人はそれなりにいるであろう。だからといって、そのムーティが降板した途端、コンサートに行くのをやめてしまうような急進派が多勢とはとても思えない。まあ、どっちが健全かは別として。
 
 で、結果は「案の定」である。空席はほとんど見当たらない。「いかにも・・・らしいな」と私は思った。
 
 弦楽アンサンブルのみ(指揮者なし)のディヴェルティメントに続き、日本を代表するピアニスト内田光子が颯爽と登場した。
 いつものごとく音楽に完全没入し、研ぎ澄まされた感性と集中力で内田光子ワールドを形成させていく。無駄な音、疎かな音は一つもない。躍動するアレグロ、弾けるフォルテ、染み入る徐楽章。実に素晴らしい。どうだアメリカ人ども!やたらカロリーの高い特大ステーキやファストフードを食っているオマエら、この上なく繊細な日本料理の芸術的真髄を見たか!!ざまーみろ!ってか(笑)。もっとも、当の内田さんは長くイギリスに住んでいて、果たしてそれが純粋なメイドインジャパンなのかは首をかしげてしまうところであるが。
 
 それはともかく、観客はこの繊細なモーツァルトに圧倒されたようで、カーテンコールの熱狂は、それはもうすさまじかった。ほとんど総立ちの大ブラボー。私自身、これほどまでに熱狂的なカーテンコールに立ち会った経験は滅多にない。しかも、メインではなく中プロで、だ。そういう意味で、奇跡的なシカゴの夜だった。
 
 スラトキンが振ったショスタコ5番。シカゴ響の壮絶なるパワー。大音響大迫力でホールをめいいっぱい揺るがした。立場逆転、今度はこっちが圧倒された。特大ステーキの威力。「どうだ、これがアメリカの底力だ!まいったか!!」
 
 ハイハイ、参りました(笑)。