2011年2月10日 シカゴ交響楽団 オーケストラホール
指揮 サカリ・オラモ
ワディム・レーピン(ヴァイオリン)
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
まず、シカゴ交響楽団の由緒ある本拠地、オーケストラホールについて書こうと思う。
“名オーケストラのあるところに名ホールあり”は真なり、か?? 答えはノー。
ウィーンフィルやコンセルトヘボウ管の本拠地ホールは本当に特別で例外。ロンドン、パリ、ニューヨークなんかより、よっぽど東京のコンサートホールの方が良い。我々は恵まれているのだ。
シカゴのオーケストラホールも、ハッキリ言って決して良くない。日本だとNHKホールみたいな感じ。ひょっとすると席によっていい音が聞こえるスポットがあるのかもしれないが、各フロアのせり出しで傘になったその真下なんて、おそらく全く響かないのではないか、と推測する。
「シカゴ交響楽団だからこのホールで鳴らすことができる」と言ってもいいのかもしれない。しっかりとした音を出さないといけないから。ひょっとしてシカゴ交響楽団が上手いのは、こういう厳しい環境で育っているからだったりして??(笑)
ただし場内の雰囲気はとてもいい。クラシカルでヨーロッパ調であり、落ち着いている。「シカゴでシカゴ響を聴いているんだぁ!」という高揚感は十分得られた。
さて、本題の公演の話に戻ろう。
もう本当に我ながら呆れてしまったのだが、ムーティのピンチヒッターとして発表されたサカリ・オラモの名前を見た瞬間、そこで私はどういうわけだか同郷のオスモ・ヴァンスカの顔が思い浮かび、勘違いしてしまったのである。当日、あのメガネのオジサンが登場と思いきや、想像していたのと違う人が指揮台に上がってびっくり。「あれ? なんだこの人? サカリ・オラモじゃん??」いや、そうだよ、サカリ・オラモだよ、何言ってんだよ(笑)。やれやれ、ボケてきました私。
この日のプログラムで一番良かったのは、レーピンのチャイコVn協。今さらながら、レーピンのその異次元の実力に唸った。彼こそ「The real thing=本物」である。なんと、第一楽章終了後に少なからずの拍手があちこちから起こったのだ。まさかシカゴ響のお客さんともあろう方々が、コンサートマナーをよく知らなくて楽章のごとに拍手を送るなんてことはあり得ない。(いや、あり得るかもしれないけど(笑))あまりの見事さに思わず拍手が起きてしまったというのが正解だろう。理解できる。
メインのプロコも、急な曲目変更とは思えないほど完成度が高かった。やっぱりさすがシカゴ響です。
オラモは今回がシカゴ響デビューだそうである。急な代役ではあったが、彼にとってはラッキー以外何物でもない。こういうチャンスをしっかりと成し得ていくことがこの世界では重要なのだ。そういう意味ではまずまずだったのではないか?
こうしてシカゴ響を二公演聞いたが、上記のとおりホールの響きの問題は別に置くとして、十分に満足の行く充実の演奏会だった。だが、そうであればあるほど、やっぱりこみ上がってくるものがある。
「これでムーティだったら、どれほど良かったことか??」
やっぱりムーティが指揮をするシカゴ響を聴きたい。
じゃあどうする??指をくわえて来日公演を待つか?それとも次の渡米のチャンスを虎視眈々と狙うか??? どうする?? うーーーーむ。