クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

石丸電気

 先日、所用で秋葉原に行って、ショッキングな事に出くわした。
久しぶりにCDを物色しようと石丸電気のクラシック&ジャズソフト専門店に行ってみたら、なんと、店舗が閉鎖されてビルにシャッターが降りていた。まずこれが最初のショック。音楽ソフト関係はオールジャンルで別の店舗ビル(道を挟んだ反対側のビル)にソフト本店として統合されていたのだ。
 まあそれだけなら仕方がないと思えた。ところが、その移転先に行って、思わず立ちすくんでしまった。今度は、そのソフト本店も近々閉店するという張り紙を目にしたのだ。どうやら石丸電気はソフト販売から完全撤退らしい。これには本当に驚いた。「がーん・・」って感じである。
 
 クラシック&ジャズ専門店が無くなったのは昨年3月だか4月だかだそうで、今頃今さらになってそれを知るくらい、要するにこの私も足が遠のいていたわけだ。最近はネットで買うことが多いし(だって安いし、わざわざ買いに行かなくてもいいし)、お店に行くとしてもタワレコが多いので、そんな人間が石丸がなくなることを嘆く資格はないのかもしれない。
 だが、それでもやっぱり寂しいのは、私が10代、20代の頃、むさぼるようにレコードやCDを買い漁っていたのがもっぱら石丸電気だったからだ。買う目的がなくても「ヒマだし、ちょっと石丸でも行ってみようかな」みたいなこともしょっちゅうあった。そこは青春時代の懐かしの場所なのである。
 
 当時、近所にもレコード店はあるにはあったにもかかわらず、わざわざ電車賃をかけてでも秋葉原まで出掛けたのは、とにかくここが圧倒的な品揃えを誇る専門店だったから。一歩店内に入ると、もうそこは「目眩くクラシック音楽の世界!」そこでレコード・CDを探している時間は、自分にとって代えがたい至福のひとときだった。特にお正月、お年玉をもらって普段よりも懐が暖かくなって、勇んで石丸に出掛け、年に一度だけ大量購入ができたんだけど、その時はうれしかったなあー。
 
 高校生の頃、まだクラシック初心者だった時は、私はよくお店の担当者に聞いたものだ。「この曲のオススメは何ですか?」「どの盤が売れてます?」「担当者さん自身のお薦めはどれですか?」 担当者は的確にさっと在庫の棚から取り出して、「これなんかいいですヨ」と薦めてくれたっけ。私は「レコ芸」雑誌よりも石丸の担当者さんの言うことを信用していましたよ。レコ芸は、なんか宣伝の匂いがプンプンしていたが、お店の担当者なら「実際に何が売れているのか」という現場の生きた情報を有しているわけだからね。
 
 当時、石丸は秋葉原に何店舗もあった。6店くらいあったような気がする。で、各店それぞれに音楽ソフトフロアがあった。「こっちの店では品切れだが、あっちならまだある」みたいなこともよくあって、ぐるぐる捜し回るのもこれまた楽しかった。
 
 時は流れている。今やネットの時代を迎え、CDの売れ行きは年々減少傾向だとか。世の中、いろいろと便利な物が生まれる一方で、やがて取り残されて消え行く物もある。HMVも店舗型から徐々に撤退方向だし。そもそも若年層のクラシック離れは顕著らしいし、私の趣味はちゃんと老後まで残るのであろうか・・・。いやあ、不安である・・・。