クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/12/8 アヴデーエワ・ピアノリサイタル

2010年12月8日  ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノリサイタル   東京オペラシティホール
ショパンプログラム
4つのマズルカ、2つの夜想曲、ピアノ・ソナタ第2番、幻想曲ヘ短調スケルツォ第4番、夜想曲ロ長調ポロネーズ第7番
 
 
 話は変わるが、ワシは衝動買いは滅多にせん。ちゃんと自分のメガネに適ったモンしか買わん。どんなに安くてもいらん物はいらんし、「そのうち必要になるかもしれないから」といって買うこともない。まあ、後になって「そういや、あんときゃ安かったのう・・。」と後悔することはしばしばあるのだが・・。
 
 コンサートのチケットもこれまたしかり。そのコンサートが自分の価値基準に合うかどうか、きちんと検討する・・・
 
 ・・・のはずだったのに、やってもうた。3ヶ月前までは無名の若手ピアニストのリサイタルチケットを、衝動にかられて思わず買ってしまった。「ショパンコンクール優勝!!」という最強の宣伝看板にまんまと釣られてしまったわけだ。
 
 コンクールなんぞ、所詮は新人の登竜門だ。栄冠を手にした演奏家は、若手の中では優秀で活きがいいが、だからと言って世界中で活躍するトップスターの仲間入りかと言えば、そんなに甘くはないのである。それは十分に承知している。分かっているのだが、「衝撃の新星誕生!」だの「アルゲリッチ以来45年ぶりの女性優勝!」だの「ハイレベルで誰が優勝してもおかしくない激戦を制す!」などといったレポート記事を読むと、「そんなにスゴイの?ホント?本当に?信じていい?」と無性に聴きたくなってくる。何と言っても、歴代優勝者にポリーニアルゲリッチツィメルマンなどが連なる世界最難関のコンクールというブランド力は大きいのだ。
 
 
 またまた前置きが長くなってしまった(私の悪いクセ)が、さてその最難関コンクールの覇者の実力はどうだったのかというと・・・。
 
 「衝撃の」という形容はいささかオーバーだが、十分に音楽的で、若いのに熟成されている。何よりもピアノと対話し、作曲家と対話し、曲の中に物語を構築させ、それを完結させているのがいい。打鍵も強く、大胆で、目をつぶって聴いていると女性が演奏している感じが全くしない。
また、変に目立とうとしたり、奇を衒ったりもしようとしない。足元がしっかりしている印象で、今後も回りの喧騒に惑わされず、自分の個性をひたすら信じて我が道を行くのではないかと推測する。
 
問題は、ショパンコンクールの覇者ということで当分は「ショパン弾き」のレッテルを貼られることになるが、そうした中で自分の路線をどこに見つけるか、他のレパートリーをどう確保していくか、だろう。ショパンを今後も核に据えるのか、それともステップアップの踏み台にするのか。
 
いずれにしても、願わくば20年後「いやあ、あの時聴いたアヴデーエワも、順調に階段を登りつめて今やピアノ界の女王だよなー」という風になっていれば、衝動買いをした私としてもまこと嬉しい限りだ。